ノーヒットノーラン達成目前で… 残り1イニングは継投で逃げ切り 最優先はチームの勝利【高校野球長崎大会】

AI要約

長崎日大が三丸悠成とエース西尾海純による3年生右腕の「ノーヒットノーランリレー」で3年連続の準々決勝進出を果たした。

先発の三丸が好投し、8回までノーヒットで9奪三振を記録。西尾が緊張する場面でも力のある直球で抑え、最後まで無失点を守った。

三丸は1死から打席を終えた後、西尾に交代。チームの勝利を最優先した監督の采配や投手陣の頼もしい姿勢が注目される。

ノーヒットノーラン達成目前で… 残り1イニングは継投で逃げ切り 最優先はチームの勝利【高校野球長崎大会】

 ◆第106回全国高校野球選手権長崎大会3回戦 長崎日大1―0西陵(21日・長崎県営野球場)

 長崎日大が三丸悠成とエース西尾海純(みいと)による3年生右腕の「ノーヒットノーランリレー」で3年連続の準々決勝進出を決めた。

 まずは先発の三丸がこの夏初のマウンドで最高の投球を見せた。初回1死から3回の先頭まで6者連続で三振を奪うなど、相手打者を寄せ付けなかった。4回に四球で初めての走者を出したが、制球は全く乱れず、8回までノーヒットに抑えた。「スライダーが決まっていて低めに集められた。四球が少なかったのがよかった。三振を狙うと力が入るので変化球で打ち取ることを意識して投げました」。8回までちょうど100球で9奪三振、わずか1四球という抜群の安定感だった。

 三丸は8回裏の攻撃で1死から打席に立ち、遊ゴロに倒れると、9回の投球に向けて準備した。ところが、この回限りでエース西尾に交代となった。三丸は驚いたが、チームの勝利を最優先した采配となった。

 送り出された西尾にとっても難しい登板となった。8回までノーヒットで点差は1点。自身はこの夏初登板という場面だったが、動揺することなく140キロ台の直球で連続三振を奪い、最後の打者は三ゴロに封じた。 西尾は「早く投げたかったので、投げられて楽しかった。点を取られたら終わりだったけど、いろんな場面で投げさせてもらってきたので緊張は全くなかった」とうなずいた。持ち味の力のある直球で押す投球で締め「頼んだぞ。しっかり抑えろ」という三丸の言葉にも応えた。

 平山清一郎監督は「三丸は本当によく投げた。記録達成ができず申し訳なかったんですが、西尾もマウンドに上げたかったので」と今後の戦いを見据えた苦渋の決断だったことを明かした。ここまで2試合で4投手が登板し、それぞれ無失点と頼もしい投手陣がそろう。「今日みたいに1点を取れない時は投手が頑張らないといけない。チームのために最善の結果を出したい」。エースとして投手陣を引っ張る西尾はこれからの戦いを見据えた。

 人生初の大記録を達成できなかった三丸は「もちろん(9回も)いきたい気持ちはあったんですけど…」と言いながらも「これからも一戦一戦気を抜かず、気を引き締めていきたい」と次のマウンドに気持ちを切り替えた。すべては2010年以来となる夏の甲子園出場のため。大記録達成はならなかったが、14年ぶりの夢舞台へ、確かな手応えを感じたマウンドとなった。

(前田泰子)