【中京記念・先手必勝】心身ともに成長のセルバーグ 〝奇跡のメークドラマ〟を期待できる確かな理由

AI要約

サマーマイルシリーズ第2戦であるGⅢ中京記念。過去10年間の同レースの荒れやすさと、セルバーグの連覇狙いに注目。

前走の敗因を踏まえて、小倉の短い直線がセルバーグにとって有利であることを期待。調教では好調ぶりを見せている。

中京記念連覇を狙うセルバーグの状態が整い、夏の小倉での勝利を狙う構えとなっている。

【中京記念・先手必勝】心身ともに成長のセルバーグ 〝奇跡のメークドラマ〟を期待できる確かな理由

[GⅢ中京記念=2024年7月21日(日曜)3歳上、小倉競馬場・芝1800メートル]

 サマーマイルシリーズ第2戦・GⅢ中京記念(21日=小倉芝1800メートル)は、2022年以来となる小倉開催。過去10年間の同レースにおいて、1番人気馬の優勝は2回だけ。20年には最低人気のメイケイダイハードが制して3連単配当330万2390円の特大ホームランが飛び出したように、〝荒れやすい〟重賞レースなのは間違いない。ならば、当欄イチ押しのバッターは同重賞連覇を狙うセルバーグ(牡5・鈴木孝)。新潟大賞典12着→エプソムC7着からの奇跡とも呼べるメークドラマを期待していい、確かな理由がある。

「直線が長く、捕まってしまいました」。鈴木孝調教師は前走・GⅢエプソムC(7着)の敗因をサバサバ振り返る。大外枠(18番)から得意のダッシュで先手を奪うと、道中は11秒台を淡々と刻んでいったセルバーグ。ラストは内ラチ沿いにピタリとつけて、そのまま粘り込みを図ろうとしたが…。ラスト300メートル付近で後続馬にかわされてしまい、勝ち馬レーベンスティールとは0秒7離される結果に。自慢の逃げ脚は、府中のロングストレートを前にして不発に終わってしまった。

 ゆえに陣営は、直線が短い小倉への舞台替わりに対して歓迎ムード。今回と同舞台だった2月のGⅢ小倉大賞典では、前半5ハロン57秒2という逃げ馬に有利とはいえないハイペースを耐え抜いて3着を確保した実績も持つ。トレーナーが、「(小倉大賞典は)だいぶペースが速かったですが、小回り千八なので粘れましたね」と好走の理由を分析していたように、2角の小高い丘から勢いをつけたまま、3~4角を経て平坦ストレートを迎えられる小倉芝1800メートルは本馬にとって最大限のパフォーマンスを発揮できる舞台なのだろう。トレーナーも、「今年の中京記念も小倉の千八になったので、そこを考えて使ってみようと思いました」と当時のレース内容を踏まえたうえでの参戦だったことを明かす。

 10日の1週前追い切りでは、和田竜が22年のGⅢシンザン記念(11着)以来となるコンタクト。ウッドでの単走ながらも、最後は鞍上のアクションにしっかり反応して鋭い伸び脚を披露した(6ハロン81・4ー11・3秒)。和田竜は「久しぶりに乗りましたが、以前に乗ったときよりもコントロールしやすいですし、精神的にも落ち着いています」と心身の成長ポイントを口にしつつ、「前走を使ったあと、陣営から『緩んだ』と聞いていましたが、今回ビッシリやりましたし、時計も出ていてシャープな動きでした。あとは自分の形に持ち込んで、いかに息が持つかどうかですね」と確かな手応えをつかんでいた。

「今年は中京記念連覇を狙って、ローテーションを組んできました。状態面も変わらずにきていますし、攻め馬だけはだいぶ落ち着いて走れるようになっています」と目を細めた指揮官。セルバーグにとって、ここは狙い澄ました一戦。夏の小倉でドラマチックな逃走劇を決める、その態勢は整った。