伊集院の左腕エース16K完封 県選抜で「一番小さかった」悔しさバネに「父越え」目指す【高校野球鹿児島大会】

AI要約

伊集院の左腕エース新藤颯大が16奪三振で2安打完封し、初の公式戦完封を達成した。

新藤は体重増加や下半身の強化を経て成長し、父や母に感謝しながら最高の恩返しを目指す姿勢を示している。

父がOBとしてベスト4まで進んだ経験を超えることを目標に掲げ、自らの力で父を超えることを目指している。

伊集院の左腕エース16K完封 県選抜で「一番小さかった」悔しさバネに「父越え」目指す【高校野球鹿児島大会】

 ◆第106回全国高校野球選手権鹿児島大会1回戦 伊集院6―0ラ・サール(9日・鴨池市民球場)

 伊集院の左腕エース新藤颯大(3年)が16奪三振で2安打完封した。「これまで自分のせいで負けた試合が多かったので、今日はゼロに抑えようと思ってマウンドに上がりました」。1回を三者凡退でスタートすると、9回以外は毎回奪三振。自己最速となる136キロを計測し、3者連続三振の4回以降は1人の走者も許さなかった。1年秋からエースになり、これが公式戦初完封。「カーブを使って緩急で打ち取った。完封はうれしいです」とエースの面目躍如に笑みがこぼれた。

 昨秋は鹿児島県選抜に選ばれ宮崎県選抜と対戦した。「選抜チームの選手の中で僕が一番体重が軽くて球が遅かったんです」と自分の実力不足にショックを受けた。冬は体重増加のために食事量を増やし下半身の強化に努めると、ひと冬で体重は7キロ増の72キロになり、身長も5センチ伸びて175センチになった。

 小学3年でソフトボールを始めてから父の健吾さんが「師匠」だった。「悩みがあれば聞いたりしてきました」という健吾さんは伊集院OBでエースとして秋の鹿児島大会で県4強まで進んだ。父からはこの夏「マウンドに上がる準備とチームを勝たせる覚悟を持って投げろ」という言葉をもらった。帽子のつばには母が書いてくれた「準備と覚悟」という文字が記されている。

 「父のベスト4を越えることが目標です」と新藤は最後の夏に「父越え」を目標に定めた。自らの左腕で実現し、これまで導いてくれた父と、体を大きくするため食事を作ってくれた母へ最高の恩返しをする。(前田泰子)