ダイレクトAT搭載GRヤリスが初参戦のラリー・カムイを完走。濡れた未舗装路で多くのデータを収集/全日本ラリー第6戦

AI要約

TOYOTA GAZOO Racingが全日本ラリー選手権に参戦し、グラベルラリーで9位完走を果たした。

昨年の経験とターマックラリーでの知見を活かし、進化したGRヤリスGR4ラリーDATで挑む。

難しいコンディションの中、眞貝知志/安藤裕一組がリスクを避けつつデータを収集し、次戦に備える。

ダイレクトAT搭載GRヤリスが初参戦のラリー・カムイを完走。濡れた未舗装路で多くのデータを収集/全日本ラリー第6戦

 7月5~7日、北海道ニセコ町を拠点にJRC全日本ラリー選手権第6戦『2024 ARKラリー・カムイ』が開催された。DAT(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)を搭載する『トヨタGRヤリスGR4ラリーDAT』で同シリーズの最高峰JN-1クラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racing(TGR-WRJ)の眞貝知志/安藤裕一組は、難コンディションとなったグラベル(未舗装路)ラリーで9位完走を果たした。

 TOYOTA GAZOO Racingは、人材育成とモータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの実践を目的に、全日本ラリー選手権に参戦中。今季は2023年の知見をフィードバックし、進化を果たしたGRヤリスGR4ラリーDATでトップクラスにエントリーしている。

 その全日本ラリーは3月のラリー三河湾で開幕して以来、5戦連続でターマック(舗装路)イベントが続いたが、今回のラリー・カムイと次戦ラリー北海道はグラベルイベントとなる。TGRチームは昨年のラリー北海道以来となるグラベルイベントに向け、事前に入念なテストを実施。グラベル用車両には昨年の経験だけでなく、シーズン前半のターマックラリーで得た知見もフィードバックされた。

 迎えたラリー・カムイの競技初日、朝から小雨が降るなか、久しぶりのグラベル走行となった眞貝は、慎重なペースでスペシャルステージ(SS)を走行していく。午後に入ると、雨の影響もあり路面に深いわだちが刻まれ、さらに難しいコントロールが要求されるなか、大きなミスやトラブルもなく8番手でラリーを折り返した。

 7日(日)の競技最終日も雨が降ったり止んだりという安定しない天候が続き、路面は滑りやすく気の抜けないコンディションに。

 JN-2など他クラスも含めリタイアするクルマが続出するなか、次戦に向けた収穫という意味でもグラベルにおけるさまざまなデータを持ち帰ることを優先した眞貝は、リスクを避けたペースで走行。前日からひとつ順位を落としながらも、すべてのSSを走り切り9位でフィニッシュした。

「グラベルラリーはシリーズの全8戦中2戦のみと、走行機会が多くありません。今回は難しい路面でしたが、眞貝選手にもしっかり走り切っていただき、とくにいいデータが取れたと思います」と語るのは、丸田智チーフメカニック。

 レクサス性能開発部で主にGR-DATの開発の担当する川端千加良エンジニアも「貴重なデータを得られた」と語ったうえで次のように付け加えた。

「事前テストよりも高い車速域を使う状況が多いこともあり、テストでは出てこなかった課題もいろいろと見つかりました。今大会で得られたデータを、次のラリー北海道にしっかりと活かしていきたいと思います」

 その課題について、眞貝はブレーキング時の挙動や制御の部分で改善の余地があると述べた。

「濡れたグラベル路面という難しい状況でしたが、まずはクルマを無傷でフィニッシュまで持ち帰ることができました」と眞貝。

「GR-DATは、路面が安定しない状況下でもステアリング、アクセル、ブレーキングに集中でき、かつクルマが適切なギヤを選んでくれる点が大きなメリットです。その一方、0.1秒を争う状況においては、特にブレーキング時の挙動や制御に改善の余地を感じてもいます」

「今回、ラリーを完走できたことで、長所や課題などのデータを持ち帰ることができました。チームの皆さんと今後の改善につなげていきたいです」

 TGR-WRJと眞貝/安藤組が挑む、JRCの次戦『ラリー北海道』は9月6日から8日にかけて、北海道帯広市を中心に開催される予定だ。

[オートスポーツweb 2024年07月09日]