国の健康指針、「筋トレ」推奨 ~糖尿病、高血圧などのリスク下げる~

AI要約

厚生労働省が改定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」には、初めて筋力トレーニングを挙げたことや、座ったままの状態が健康に悪影響を及ぼすことが指摘されている。

ガイドでは成人が1日60分以上、高齢者が1日40分以上の身体活動を推奨しているが、個人差を考慮し、取り組める範囲で行うことが大切であると強調されている。

推奨される歩数や身体活動量は目安であり、増やすことができる人は増やし、普段活動量が少ない人でも少しずつ取り組むことが重要だということを理解する必要がある。

国の健康指針、「筋トレ」推奨  ~糖尿病、高血圧などのリスク下げる~

 厚生労働省による「健康づくりのための身体活動基準2013」を10年ぶりに改定したのが、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」だ。こども、成人、高齢者のライフステージに分けて推奨事項を示すとともに、有効な運動の一つとして初めて筋力トレーニングを挙げたのが特徴だ。さらに、在宅勤務などで座ったままの状態が続くことは、健康面でマイナスになると指摘する。研究班でガイドの原案作成に当たった早稲田大学スポーツ科学学術院の澤田亨教授にポイントを聞いた。

 世界保健機関(WHO)は世界における死亡の危険因子として、高血圧、喫煙、高血糖に次いで身体活動・運動の不足を第4位に位置付けている。身体活動には、家事や労働、通勤・通学などの生活活動、スポーツやフィットネスなどの運動、デスクワークをしたり、座ったり、寝ころんだりした状態でテレビやスマホを見るなどの座位行動がある。

 ガイドでは、身体活動について成人が1日60分以上(1日約8000歩以上の歩行)、高齢者では1日40分以上(1日約6000歩以上の歩行)を推奨している。

 「基準」とすると、それをクリアしなければならないと考え、ハードルが高くなってしまう。結局、試そうという気にならなかったり、始めてもやめてしまったりするケースはよくある。

 澤田教授は「推奨事項は目安であり、個人差を踏まえ、強度や量を調節し、できるものから取り組むことが大切だ」とした上で、「全くやらない状態に比べれば、少しでもやった方が健康維持の観点からははるかに良い」と話す。

 成人の推奨値である1日8000歩について「1日平均9000歩は歩いていますが、減らした方がよいですか」と、質問する人もいる。澤田教授は「あくまでも目安だ。増やせる人は増やせばよいし、普段ほとんど歩いていない人は3000歩でも4000歩でもよい。その点をぜひ、理解してほしい」と強調する。