「電話は3コール以内で取るのが常識!」「今、昼休みなのに…」上司と部下、言い分が正しいのはどっち?
「電話は3コール以内に取るのが常識!」休憩時間中であっても電話対応をするよう強要してくる上司に堪忍袋の緒が切れ、言い合いになってしまった相談者。気まずい状況を打開しようと相談した相手は、歯に衣着せぬ物言いで相談者に愛のムチを入れる、ちょっと風変わりな社労士のカタリーナ。相談者に対してカタリーナがしたアドバイスとは……。
<登場人物>
藤木(29歳):都内にある学習サービス支援企業で働く事務スタッフ
今林課長(40歳):熱血漢の直属上司
● 昼休みでも電話があれば対応すべし?
藤木が昼休憩に出ようと席を立ったとき、オフィスに電話が鳴り響いた。あいにく手の空いていそうな社員は、課長の今林を除き、藤木しかいない。
今林 「藤木さん、電話。早く出て!」
藤木は仕方なく電話を取って対応した。受話器を置くやいなや、今林が駆け寄ってきた。
今林 「電話は3コール以内に取るって、常識でしょう?」
藤木 「はい、でも……今は休憩時間ですので」
今林 「お客さんに君の休憩時間なんて関係ないでしょ。うちはサービス業なんだから」
藤木 「お言葉ですが、休憩時間なので休む権利はありますよね?いつもこれでは困ります」
今林 「人手も足りないし、少しくらいは大目に頼むよ。その分、ボーナスで還元するから」
藤木 「そんな……。うちの会社は休憩時間も満足に取らせてもらえないんですか? 今林課長も電話対応してください!」
声を荒げる藤木の姿に、その場にいた他の社員も驚いている様子だった。
● 休憩時間を取らせてもらえない職場はアリ?
今林の言動に幻滅し、すっかりやる気を失ってしまった藤木は、社労士のカタリーナに相談することにした。
カタリーナ 「こんにちは!社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」
藤木 「聞いてください!うちの職場では満足に昼休憩も取れないんです。休憩時間にかかってくる電話対応も強要されて。たまになら仕方ないと思いますが、ほぼ毎日ですよ。これっておかしくないですか?」
カタリーナ 「それは困ったものね。休憩時間は、業務から離れて自由に利用できる時間よ。午前中の仕事がずれ込んだときも、ずらして休ませてもらえないの?」
藤木 「はい。休憩時間は12時から午後1時までですが、午前中の打ち合わせが延びたときも、上司の圧が強くて1時に席にいないと気まずい雰囲気なんです。なので、普段から40分くらいしか休めていません」
カタリーナ 「勤怠はどうなっているの?」
藤木 「自動的に1時間の休憩を取ったことになってしまうんです」
カタリーナ 「ということは、労働に対する給与も支払われていないということね」
藤木 「はい。上司はボーナスで還元するとか言っていますが、納得できません」
カタリーナ 「もちろん、そんなことあり得ないわ」
● 解決するために、社内の誰に相談したらいい?
藤木 「ずっと我慢してきました。でも、たまりかねて上司に言い返してしまって。今の状態で働き続けるくらいなら、もう転職した方がいいでしょうか?」
カタリーナ 「まぁ、落ち着いて。転職を考える前に、今できることを考えてみましょうよ」
藤木 「私にできることなんてあるでしょうか」
カタリーナ 「あなたが上司に直接正論を言っても、残念ながら聞く耳を持ってもらえないと思うの。社内に相談窓口があればいいけれど、ない場合も人事に昼休みを時間通りにとらせてもらえないこと、勤怠が実態と違っている状況が続いていることをまず相談してみて」
藤木 「なんだか告げ口をしているみたいで、ちょっと言いにくいです……」