むかーしむかし、火星には生命がいたかもしれません

AI要約

NASAの火星探査車が、数十億年前の火星に微生物生命の可能性を示唆する岩石を発見

岩石の特徴や化学組成から、微生物の存在が推測されており、さらなる研究が必要

探査車は今後も火星の探査を続け、2030年代に有人探査ミッションが予定されている

むかーしむかし、火星には生命がいたかもしれません

NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」が、数十億年前の火星に微生物生命が生息していた可能性を示唆する岩石を発見しました。しかし、さらなる研究を必要としています。

この岩石の大きさは1m×0.6mで、パーサヴィアランス科学チームはチェヤバ滝(Cheyava Falls)と名付けました。探査車はネレトヴァ渓谷(Neretva Vallis)という地域を探査していた7月21日に、岩石のサンプルを採取しています。この渓谷は、火星が温暖だった数十億年前には液体の水が流れていたため、生命が発展していた可能性のある場所なんだとか。

この岩石の最も際立った特徴は、硫酸カルシウムの白い筋状の部分と、その間のヘマタイト(火星の赤い色に寄与している)と思われる帯状の部分のように思えます。しかしパーサヴィアランスが赤みを帯びた領域を拡大してみたところ、黒色で縁取られたオフホワイト色の斑点が多数ありました。それぞれ幅は1mmほどで、NASAは「ヒョウの斑点」に似ていると説明。パーサヴィアランスの観測機器がそれらの化学組成を分析し、縁の黒い部分には鉄とリン酸が含まれているとわかりました。

「これらの斑点には非常に驚きました」と、宇宙生物学者でパーサヴィアランス科学チームのDavid Flannery氏はリリースの中で述べています。

地球では、岩石のこういった特徴は地表下に生息している微生物の化石記録とたいてい関連があるのです。

この種の斑点は、地上の堆積岩だとヘマタイトを伴う化学反応の際に生じることがあり、鉄とリン酸を放出します。こういった化学反応は微生物のエネルギー源にもなり得るそう。

パーサヴィアランス・プロジェクトの科学者Ken Farley氏は、チェヤバ滝をこれまでに探査車が調べた中で「最も不可解で、複雑で潜在的に重要な岩石」と呼ぶものの、どのように形成されたかについてほとんどわからないままだと認めています。

考えられる可能性のひとつは、元々チェヤバ滝は有機化合物が含まれる泥であって、やがて岩石になった説。水が流れてきて岩石の亀裂に浸み込んだ際に、運搬されてきた鉱物堆積物がカルシウムの筋と斑点を生成したというものです。

チェヤバ滝に存在していた別の鉱物、マグマから形成されるカンラン石によってもたらされた説もあります。チェヤバ滝の斑点模様が、同地域が生き物が暮らしていけないほど高温だった時代に非生物性の化学反応によって生じたと示唆するものです。

NASAの科学者たちは、パーサヴィアランス搭載の科学機器で行なえる岩石の分析は全部やったと述べており、さらなる研究にはチェヤバ滝のサンプルを地球に持ち帰る必要があります。素晴らしい発見の数々と茶目っ気の両方で知られるようになった同探査車は現在、ネレトヴァ渓谷の探査を続けています。

現時点でNASAは2030年代に火星へ有人探査ミッションを送ろうとしています。とはいえ、月面再訪という任務が延期されていることを踏まえると、実現はしばらく先になるかもしれません。

Source: NASA,