島民600名が逃げ出した…薩摩南方の島で起こった「西之島や福徳岡ノ場噴火をも超える」大噴火と、わずか「4ヶ月ほどで出現した」新たな島

AI要約

新たな火山島の出現について、研究材料としての重要性や地球のダイナミズムについて述べられている。

著者が噴火や成長の過程の地質現象について詳しく解説している書籍『島はどうしてできるのか』の内容が紹介されている。

特に、鬼界カルデラを構成する薩摩硫黄島と昭和硫黄島に焦点を当て、海底噴火によって生まれた島の歴史を探っている。

島民600名が逃げ出した…薩摩南方の島で起こった「西之島や福徳岡ノ場噴火をも超える」大噴火と、わずか「4ヶ月ほどで出現した」新たな島

新たな火山島の出現は、島を知り地球を知る研究材料の宝庫。できたての島でなくては見ることのできない事象や、そこから伝わってくる地球のダイナミズムがあります。そして、地球に生まれた島は、どのような生涯をたどるのか、新たな疑問や期待も感じさせられます。

今まさに活動中の西之島をはじめ、多くの島の上陸調査も行ってきた著者が、国内外の特徴的な島について噴火や成長の過程での地質現象を詳しく解説した書籍『島はどうしてできるのか』が、大きな注目を集めています。

ここでは、実際に現場を見てきた著者ならではの、体験や研究結果をご紹介していきましょう。今回は、大規模な噴火を繰り返している海底カルデラ「鬼界(きかい)カルデラ」の北側を構成している薩摩硫黄島と、その火山活動によって出現した「昭和硫黄島」を取り上げます。

※この記事は、『島はどうしてできるのか』の内容を再構成・再編集してお届けします。

いつも眺めている身近な海で火山噴火がはじまり、目前で島が成長していく様子を想像できるだろうか?

拙著『島はどうしてできるのか』では、西之島や福徳岡ノ場など、近年の噴火を例に火山島誕生や軽石漂流の話題を取り上げ、この記事シリーズでも、ここ10年近くの西之島の活動の経緯をご紹介した。

ただ、これらはいずれも絶海の孤島や海底火山で起きた噴火であるため、身近で同様の現象が発生した場合に何が起こるのか実感を持つことは難しいかもしれない。しかし過去を振り返ると人間社会の傍らで海底噴火が起き、周囲にさまざまな影響を及ぼした事例を見出すことができる。

本稿ではそのような例の一つとして、新たな火山島を形成した昭和硫黄島の海底噴火を取り上げる。戦前の激動と混乱の時代の中起きた噴火だが、当時このできごとを克明に記録した人々がいた。その記録と、著者自身が行った上陸調査をもとに、この噴火で何が起きたのかを探っていこう。