「ニュートン力学」の何がすごいのか…「人類史上もっとも有能な理論」といわれる理由

AI要約

古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、科学の歴史の一端を親子の対話形式で解説。

ガリレオは物体の落下と衛星の運動の違いについて述べ、ニュートンは普遍的な重力の理論を構築し、宇宙の物質的事物すべてに適用可能な理論を提唱。

ニュートンの理論は、月の満ち引きや惑星の動きを正確に計算し、その成果は科学の歴史におけるもっとも印象深いもののひとつとなった。

「ニュートン力学」の何がすごいのか…「人類史上もっとも有能な理論」といわれる理由

古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、この世界のしくみを解き明かす大発見はどのように生まれてきたのか?

親子の対話形式でわかりやすく科学の歴史を描き出した新刊『父が子に語る科学の話』から、偉大な科学者たちの驚くべき発見物語の一端をご紹介しよう。

*本記事は、ヨセフ・アガシ著/立花希一訳『父が子に語る科学の話 親子の対話から生まれた感動の科学入門』(ブルーバックス)をオンライン向けに再編集したものです。

こうしてわれわれは、ガリレオが言ったことの何が正しくて、何がまちがっていたかを理解した。地球の近くにあるものは等加速度で落下するが、他方、地球から遠いところにあるものは衛星になるのだと。ガリレオにとっては、2種類の事物があることになる。落下するものと衛星になるものだ。

その時代のもっとも偉大な学者で、また歴史上もっとも偉大な科学者のひとりでもあるアイザック・ニュートンは、普遍的、あるいは統一的な重力の理論を構築したが、それは、天文学上の現象、衛星および落下する物体の現象をすべてひとつの枠組みの中で説明した理論なのだ。

ニュートンの理論は、石がどのようにして地球に落下するか、どのようにしたらロケットは人工衛星になることができるのか、月はどのようにして地球の衛星であるのか、また地球はどのようにして太陽の惑星であるのかを説明した。

またかれは、潮の満ち引きについても説明した。1日に潮の満ち引きは2回ある。では満潮が実際にひじょうに高くなるのがいつか。およそ1ヵ月に1回だ。さて、月が近づくと潮は高くなる。どうしてか。海水が月の重力によって引きつけられるからだ。

簡単には信じられないだろう。地球と月のように遠く離れているふたつの物体のあいだでも重力がはたらくなどと、人々は思ってもみない。石は月の重力に引きつけられないじゃないか、と。

ところが、石は引きつけられている。ただそれに気がつかないだけだ。だけど、海は月の重力によって引きつけられていて、しかもそれに気づくことができる。なぜなら海は水でできていて、しかもたくさんの水でできているからだ。そこで、その効果に気づくことができる。

漁師たちは、満潮が月に関係していることを昔から知っていたが、潮の満ち引きの原因は、月の重力が地球の海を引っぱることにあると、最初に説明したのがニュートンだった。

ニュートンとかれの追随者たちは、惑星の動きをきわめて正確に計算することができ、科学の歴史においてそれまでに達成された中で、もっとも正確な結果を得た。かれらは潮の満ち引きを計算し、地球の中心により近いところにある物体と、地球の中心からより遠いところにある物体とのあいだにある重力差を計算した。

ニュートンの理論は人類の歴史全体で、もっとも印象深い理論のうちのひとつだった。なぜならそれは宇宙のすべての物質的事物、つまり、遠く離れた星々や、太陽、惑星、棒や石や羽根や空気、その他ありとあらゆる事物に応用できる理論だったからだ。

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さらに「父が子に語る科学の話」シリーズの連載記事では、偉大な科学者たちの驚くべき発見物語を紹介していく。