タンポンから鉛やヒ素など重金属を検出、健康への影響を専門家に聞いた、米研究

AI要約

タンポンに含まれるヒ素や鉛などの重金属の影響についての新研究が発表された。検査対象の全ての製品で毒性金属が検出され、健康への影響が懸念されている。

ヒ素や鉛は命に危険を及ぼす可能性があり、過去には毒殺に使用されたこともある。これらの重金属は人の健康に深刻な影響を与える可能性がある。

重金属にさらされることで健康リスクが高まるため、タンポンに含まれる金属成分についての懸念が広まっている。

タンポンから鉛やヒ素など重金属を検出、健康への影響を専門家に聞いた、米研究

「毒の王」の呼び名で知られるヒ素や、ファン・ゴッホの精神疾患の原因ともいわれる鉛にさらされると、命の危険につながることもある。そんなヒ素や鉛などの重金属がタンポンに含まれているという論文が2024年7月3日付けで学術誌「Environment International」に発表され、米国のソーシャルメディア上には不安が広がっている。しかし実際のところ、われわれはどの程度心配するべきなのだろうか。

 この新たな研究では、米国とヨーロッパ(ギリシャと英国)で購入した14ブランド、24製品の計30個のタンポンに、16種類の金属がどの程度含まれているかを分析した。その結果、研究者らは、毒性のあるものを含む12種類の金属が、検査対象となったすべての製品に含まれていることを発見した。

「たとえば鉛は、検査をしたすべてのタンポンから見つかっています」と、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学バークレー校の環境疫学者ジェニ・シアストン氏は言う。ヒ素は95%のサンプルから検出された。

 タンポンは米国では90年以上前から市販されているが、重金属についての検査が行われたのは初めてだろうと、論文の著者らは考えている。これまで行われなかった理由についてシアストン氏は、生理にまつわる話題が長い間タブーとされてきた結果だと指摘する。

「月経や生理用品について人々が話し合うことがなければ、科学的に重要な問題を検証する機会が失われる可能性があります」と氏は言う。

 タンポンに含まれる鉛、ヒ素、カドミウムなどの汚染物質が人々の健康に及ぼす影響や、ほかにはどんなルートでそうした金属にさらされうるのかについて解説する。

 ビクトリア朝時代(1837~1901年)、ヒ素は衣服や壁紙から、ろうそく、造花に至るまで、さまざまなものに含まれていたが、この物質にさらされると命に関わることに医者たちが気づいたことをきっかけに、徐々に使用されなくなっていった。

「毒の王」として知られるヒ素、とりわけ三酸化二ヒ素(亜ヒ酸)は、殺人に用いられることもあった。なぜならこの物質は、激しい腹痛、嘔吐、下痢を引き起こすにもかかわらず、無味無臭なので毒を盛られても気づかないからだ。小さな豆粒ほどの量でも人を殺すことができる。

 鉛中毒も、関節痛や頭痛、集中力の低下、行動の変化などを引き起こし、命に関わる危険がある。「鉛は神経系、認知、脳の発達に影響を与えます」とシアストン氏は言う。

 鉛を使った絵具にさらされると精神疾患の原因となり、ミケランジェロやファン・ゴッホはその影響を受けていたという説もある。