知らないうちに「運び屋」にされてしまう恐怖! 夏のレジャーは要注意、恐るべき“外来種”の正体とは?

AI要約

夏のレジャーシーズンが到来し、持ち物を運ぶことで不本意な昆虫や外来種のアリを運んでしまう可能性がある。

トコジラミや外来種のアリは、旅行者に悩みをもたらす存在であり、特に暖かい季節に活動が活発化する。

アリは自家用車などに“ヒッチハイク”して移動し、外来種が生息範囲を拡大していることが報告されている。

知らないうちに「運び屋」にされてしまう恐怖! 夏のレジャーは要注意、恐るべき“外来種”の正体とは?

 夏のレジャーシーズンが到来し、ある程度の距離を移動する場合、それなりの持ち物が必要になるわけだが、場合によっては本人が気づかないうちに“運び屋”になっていることもある。

・アリ

・シラミ

などの昆虫は、不本意ながら旅行者の悩みの種である。

 夏のレジャーシーズンを迎えて何かと移動が活発になるが、移動するということは当然だが多かれ少なかれ旅の荷物や土産物など、モノの運搬をともなうことになる。そしてそのなかには当人が意図せずして運んでしまうモノもあるかもしれない。

 2023年秋以降、海外ではトコジラミの発生が話題となったが、この春には国内でも発生が報告され、真偽のほどは定かではないが、JR山手線の座席から発見されたというSNSの投稿が話題となった。

 トコジラミに刺されると非常にかゆく、コロナ禍が明けて人の流れが活発になった今、再び広がっている感は否めない。

 英シェフィールド大学の2017年の研究では、トコジラミは一度着用した衣服に誘引されて定着することが報告されており、海外旅行などの旅行先からスーツケースに入れて持ち帰った衣服にトコジラミが付着しているケースが示唆されている。空の旅でトコジラミを持ち込んで、自宅のベッドに住み着かれたらたまったものではない。

 空の旅が再開された一方で、最新の研究によると、外来種のアリが国内のドライブ旅行で問題になる可能性があることは興味深い。車内に持ち込まれたアリが繁殖し、旅行先で生息域を広げているというのである。

 米バージニア工科大学農学・生命科学部の研究チームが2024年4月に『Ecological Entomology』誌に発表した研究によると、台湾では外来種のアリが自家用車の“ヒッチハイク”によって生息域を拡大していることが明らかになった。

 2017年から2023年にかけてのSNSなどのデータから、研究チームは、44台の自家用車と8台のスクーターに侵入・移動する活動的なアリを52件特定した。

 アリの“乗車”は、車体の表面だけでなく、ボンネットの下やトランクのなかにあることが多かった。9種のアリは

・在来種:2種

・外来種/侵入種:7種

で、外来種のクロココアアリ(Dolichoderus thoracicus)が約6割を占めた。

 車に侵入したアリの平均移動距離は約60kmで、寒い季節(秋と冬)よりも暖かい季節(春と夏)の方が多かった。暖かい気候はアリの活動を活発化させ、行動半径が広いほど自動車に遭遇する確率が高くなる。また、クロココアアリは樹上にも生息しており、夏場は木陰に駐車する車両が増えるため、樹上から落下して車両に侵入するケースが増えるようだ。

 アリが侵入した車両が駐車されていた期間は、数時間から1か月以上と幅があるが、半数以上の30件が1日以内に侵入している。つまり多くは日帰りドライブで、アリが“ヒッチハイク”していたのである。

 車内に侵入して移動するアリの存在は過去にも確認されているが、農業用車両や土木作業用トラックに限られており、一般乗用車での“ヒッチハイク”が明らかになったのは今回が初めてだ。

 侵入した車両にはアリの餌となるものが特になかったことから、移動のために車両に侵入していると考えられる。外来種のアリは在来種のアリよりも生息域での個体数が多く、“アリ密度”が高いため、移住の圧力がかかっているともいわれている。

 特に夏のレジャーシーズンには、知らず知らずのうちにアリを手助けしている可能性があることを、ドライバーは認識しておくべきだろう。