ある鳥の数が1年めは1.5倍に、2年めは8/3倍に、3年めは2倍になった。この3年間の平均増加率は?

AI要約

成長率や相乗平均についての重要な考え方が紹介されている。

年平均成長率や相乗平均の定義が詳しく説明されている。

具体的な例を挙げながら、成長率や平均の計算方法について解説されている。

ある鳥の数が1年めは1.5倍に、2年めは8/3倍に、3年めは2倍になった。この3年間の平均増加率は?

(食塩水の濃度や往復の平均速度など、仕事などでちょっとした算数の知識が問われる場面に出くわして、ドキッとしたことはないだろうか。「昔は解けたのに……」、そう思うのに解けない。そんな大人たちは本連載で今一度、算数を基礎から学び直してみてはどうだろう。

長年、算数・数学教育に携わってきた桜美林大学名誉教授・芳沢光雄氏の新刊『大人のための算数力講義』(講談社+新書)より抜粋して、「算数の重要な考え方」をお届けする。

『大人のための算数力講義』連載第25回

『素数が「無限に続く」ことを証明できますか?...2000年以上発見されなかった「小学生でも」納得できる「簡単な」方法』より続く

経済成長などでよく使われる年平均成長率という言葉を考えてみよう。

まず重要なのは「成長する対象が、期間全体を通して毎年、同じ成長率にならして成長したとして、その期間の最後には最初から見ると同じ成長になるような成長率」ということである。

たとえば、1年目に50%、2年目に100%、3年目に-25%、4年目に125%の成長があれば、1年目に基準値の3/2倍、2年目に2倍、3年目に3/4倍、4年目に9/4倍の成長になる。

そこで、

(3/2)×2×(3/4)×(9/4)=(3/2)×(3/2)×(3/2)×(3/2)

となることに注目して、4年間の年平均成長率は50%(1.5倍)になる。

ここから、「四つの数字3/2、2、3/4、9/4の相乗平均は3/2である」という。

年平均成長率の考え方を一般化した相乗平均の定義を述べると、次のようになる。

n個の正の数a1、a2、a3、…、an の「相乗平均」は、

a1×a2×a3×…an=g×g×g…g

(gをn回掛け合わせた数)

を満たす正の数gのことである。

ちなみに、上式の右辺はgのn乗といい、gnで表す。

ここで復習のための例を挙げよう。

ある鳥の生息数を調査したところ、最初の1年間で1.5倍になり、次の1年間で8/3倍になり、次の1年間で2倍になったとする。

このとき、

(3/2)×(8/3)×2=8=2×2×2

となるので、「3年間で平均してみると、1年間に2倍になっている」と考えるのが正しい理解である。

もちろん、この場合の平均を求めるとき、

{(3/2)+(8/3)+2}÷3=37/18

と計算しては間違いである。