恋人や配偶者と「平和的」に関係を解消する、「意識的なカップル解消」

AI要約

「意識的なカップル解消」は恋愛関係や婚姻関係を尊重し、思いやりと敬意をもって終わらせるプロセスを指す。

意識的なカップル解消を行うには、コミュニケーション、感情への気づき、敬意と共感、協力とコラボレーションなどの要素が必要。

別れた後も友人でいたい人は少数であり、他の建設的な別れ方もある。

恋人や配偶者と「平和的」に関係を解消する、「意識的なカップル解消」

「意識的なカップル解消(Conscious Uncoupling)」とは、恋愛関係や婚姻関係を、とげとげしい敵意ではなく、思いやりと敬意と相互理解をもって終わらせるプロセスのことをいう。2014年に、女優グウィネス・パルトローと、コールドプレイのボーカル、クリス・マーティンが婚姻関係解消を発表したとき以来、よく知られるようになった言葉だ。

意識的なカップル解消がそもそも可能なのかについては、多くの人々が強い主張をもっており、議論になっている。熱烈に支持し、実際に自分でもそうした、と語る人もいれば、そんなものは想像力を欠いた絵空事だ、と切り捨てる人もいる。

以下では、心理学者の視点から、意識的なカップル解消のトレンドに関する所見を3つの軸に沿ってまとめてみた。

■恋愛関係に一つとして同じものはないので、意識的なカップル解消は確かにあり得る

恋愛関係は、途方もなく複雑だ。「例外のないルールはない」という決まり文句がよくあてはまる。

恋愛関係に一つとして同じものはないのだから、その終わり方もまた千差万別であるのは当然だ。どんなふうにカップルになるか、そしてどのようにカップルを解消するかは、あなた自身が決めるべきことだ。

あなたとあなたのパートナーが、意識的なカップル解消こそ正しい選択肢だと思うなら、それは文句なしに妥当な解決策となる。一番ありふれた道ではないかもしれないが、間違いなく可能ではある。

意識的なカップル解消を行うには、いくつかの要素が必要になってくる。

・コミュニケーション:オープンで率直で敬意をもったコミュニケーションは不可欠だ。感情や不安、意図する将来像について、落ち着いて共感をもって話し合おう

・自分の感情への気づき:パートナーの双方が、自分自身の感情や、離別への反応をきちんと認識し、対処する必要がある。これにより、悲嘆、怒り、悲しみといった感情を、建設的に制御することができる

・敬意と共感:意見が一致しなかったり、困難に陥ったりしたときにも、お互いへの敬意と共感を保つことは、相手から価値を認められ理解されていると感じられる環境づくりに役立つ

・協力とコラボレーション:実務的な問題(子どもの親権、金銭面、共有財産など)についての意思決定を協力して行うことで、対立を軽減し、スムーズな移行を実現できる

・子どもを優先(子どもがいる場合):意思決定において、子どものニーズと福祉を最優先に考えることで、移行プロセス時の安定性や安全性が高まる

・支援ネットワーク:意識的なカップル解消を理解し後押ししてくれる友人や家族、セラピストからの支援があることは、困難を乗り越えるための指針と感情的サポートになる

・境界とスペース:明確な境界線を引き、自分をいたわり、新しい状況に慣れるためのスペースを尊重することは、不要な緊張を取り除き、離別後に健全な関係を構築するのに役立つ

■恋愛関係が終わった後も友人であり続ける人たちは、多数派ではない

意識的なカップル解消が可能であることは間違いないが、それが一般的であるとまではいえない。例えば、YouGov(ユーガブ)による2022年の調査では、米国の回答者の約35%が、恋愛関係が終わったとしても、相手と友人関係を維持したいと回答した。

一方、これまでの恋愛経験について尋ねたところ、「かつての恋人全員と友人関係を保っている」と答えたのは、回答者の17%にとどまった。回答者の37%は、「少なくとも1人の元恋人と友人関係にある」と答えたが、44%は、「友人になった元恋人は1人もいない」と答えた。

興味深いことに、元恋人と友人でいたいと答えた割合は、女性よりも男性で高かった。また同データによれば、元恋人と友人であり続けたいという願望は、別れを切り出した側の方が強かった。

■「別れた後も友達でいたい」と思わないなら、それでもいい

意識的なカップル解消は、恋愛関係に幕を引く一つの方法ではあるが、建設的なやり方は他にもある。以前の恋人と友人でいたくないと思うのは、非常によく理解できることであり、そう表明したからといって、あなたが悪人ということにはならない。受け入れられやすい別れの方法を、他にいくつか紹介しよう。

・コールドブレイク:恋愛関係は、時に「最終対話」で、きれいさっぱり終わり、その後はほとんど、あるいは一切やりとりをしない、という形をとり得る

・一旦元に戻ったあとの別れ:恋愛関係の解消寸前を行ったり来たりする時期がしばらく続いたあと、ついに完全に切れる、という形でも問題はない。別れを切り出したあと、それに伴う感情への対処として、復縁することは、ごく普通の反応だ

・ただの知り合い:別れのあと、以前の恋人とは「ちょっとした知り合い」程度でいたいなら、それでもかまわない。同じコミュニティの集まりで顔を合わせたら、挨拶と社交辞令くらいは交わすが、それ以上のことは望まない、といった状態だ

・完全に排除:関係がどちらかにとって有害なものになったときなど、別れのなかには、以前の恋人を完全に人生から排除することが必要なこともある

関係解消に際して、正直さ、思いやり、セルフケアに重きを置いて対処しているかぎり、正しい道を外れることはない。たとえ、意識的なカップル解消という道をとらない場合であっても、だ。