市役所になんと立派なあの「模型」 当時の繁栄ぶりを緻密に再現、観光スポットに

AI要約

奈良市役所に展示されている精巧な平城京の模型がSNSで話題を集めている。

模型は実際の平城京の1/1000サイズであり、市役所のロビーに設置されている。

研究者による最新研究成果に基づいて再現された模型は、50年以上たっても古代都市の様相を理解するための貴重な資料として価値があり続けている。

市役所になんと立派なあの「模型」 当時の繁栄ぶりを緻密に再現、観光スポットに

奈良市役所に行くとずっと見てしまう――。先日、奈良市役所にある展示物がSNSで話題になりました。その展示物とは、とても精巧につくられた、あの模型なんです。

先日、SNS上で奈良市役所にある「模型」が話題になりました。

SNS上では「奈良市役所に行った時はいつも見てた」「こんなすばらしい展示が」「こんなのが役所にあるなんて」といったコメントも付いていました。

その模型とは、かつて奈良にあった都「平城京」の模型です。

模型は実際の平城京の1000分の1サイズ。市役所の1階ロビーに設置されています。

大きさは東西に8.3m、南北6.4m。寺院や民家といった建物は約2万5750棟、樹木は約2万8000本が再現されています。

平城京は710年、飛鳥に近い藤原京から奈良盆地の北端に作られた都です。中国の唐の「長安城」の影響を受けてつくられたといわれ、京都の長岡京へ移る784年までの74年間、都として栄えました。

実際の平城京全体の大きさは東西約6km、南北約5km。万葉集にも小野老(おののおゆ)の「あをによし 奈良の都は咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり」という歌があるほど、とても繁栄した都だったといわれています。

奈良市役所に模型を設置することになった経緯を聞きました。

この模型は「平城京の様子が一目でわかり、その繁栄ぶりを再現しようとつくられたもの」だそう。

古代都市全域の復元模型をつくるという前例のない事業だったことから、まず、当時の学術研究の第一線で活躍する研究者による「平城京模型作成研究調査会」を設置しました。

その研究者たちの最新の研究成果に基づいて、当時の姿を再現したそうです。

1977年、市制80周年に合わせて完成した今の市庁舎のロビーに設置されました。奈良の東にある若草山や古墳郡のほか、現在では見ることができない東大寺の東塔・西塔までも忠実に再現されています。

完成以降、全国各地の展覧会に貸し出されることもあるとのこと。国内外の観光客から、「当時の平城京の様子がよく理解できる」と好評で、この模型を見るために市役所を訪れる人もいるといいます。

学習教材や観光のガイドブックにもたびたび登場しているそうです。

ただ、当時の最新研究に基づいて緻密(ちみつ)に再現されたとはいえ、すでに完成から50年近くが経過。その間に発掘調査などが進み、平城京に関する新たな研究成果も出てきています。

しかし、市役所は「この壮大な模型は、今でも古代都市の様相を一目で理解できる唯一の存在。現在でも価値は色あせていないです」とコメントしています。