歯周病検診 2024年度から20歳も対象になったワケ…糖尿病や心筋梗塞、認知症のリスクになることも

AI要約

歯周病は、歯周病菌が歯肉に慢性的な炎症を引き起こし、歯を支える骨を溶かす病気であり、早期発見が重要です。

歯周病は若い世代でも多く見られ、炎症が進行すると歯を失う可能性が高まり、他の疾患のリスクも増加します。

定期的な歯周病検診が有効であり、自治体や個別の取り組みによって歯周病の予防や改善が進められています。

 病気や健康の疑問に、読売新聞の医療サイトのキャラクター、ヨミドックが答えます。今回のテーマは「歯周病検診」です。

  Q  歯周病はどんな病気?

  ヨミドック  歯の表面の歯周病菌が歯肉に入り込み、慢性的な炎症を引き起こして、歯を支える骨を溶かします。日本人が歯を失う原因の第1位ですが、早めの治療には至らないケースが多いのです。

  Q  どうして?

  ヨ  初期には痛みを感じないからです。炎症が歯ぐきの深くまで広がって痛みが出てからでは、治療が長期化し、歯を抜くこともあります。

  Q  若い人はまだ神経質にならなくていいよね。

  ヨ  とんでもない。厚生労働省の調査では、15~24歳の17・8%、25~34歳の32・7%が歯周病でした。歯を失った人も、15~24歳で5・9%、25~34歳の15%と少なくありません。

 歯周病は、糖尿病の悪化や心筋梗塞(こうそく)、呼吸器疾患などのリスクを高めます。若いうちからの対応が重要です。

  Q  早めに気づくには?

  ヨ  「歯磨きの時に出血する」「歯肉が腫れる」などがあったら、歯科を受診しましょう。検診の活用も重要です。小中高生には、年1回の学校歯科健診の実施が義務づけられています。大人になったら、自治体による「歯周病検診」があります。国は40~70歳の10歳刻みの検診に対し、費用を助成しており、今年度から20歳と30歳も加えました。

  Q  検診では何をするの。

  ヨ  自治体発行の受診券を使った「個別検診」と、日時と会場を指定する「集団検診」があります。歯周病や歯石の付着があれば、歯科受診を勧められます。医療機関では、治療のほか、歯の磨き方の指導、定期的な歯石の除去などをし、予防につなげます。

 福岡県久山町で、40歳以上の全年齢の住民に、歯科健診と歯科保健指導を継続して実施したところ、歯周病の有病率が10年間で半減したという報告があります。

  Q  課題はあるのかな。

  ヨ  10歳刻みの歯周病検診を5歳刻みで実施するなど、発見する機会の拡充です。

 岐阜県美濃加茂市は今年度から、独自事業として18~74歳の全年齢で「市民皆歯科健診」を始めました。年1回の健診で、歯の健康を確認してもらおうという狙いです。

 歯周病検診の受診率や、検診で歯科医療機関の受診を勧められた人の受診率の低さも指摘されています。検診への理解を広めたいですね。(草竹敦紀/取材協力=三浦宏子・北海道医療大教授、河村二郎・加茂歯科医師会長)