モデルナに米政府が資金支援-脅威迫る鳥インフル、ワクチン開発加速

AI要約

米モデルナは、鳥インフルエンザ対応のmRNAワクチン開発を加速するために米政府から資金を確保。

CDCによると、米国内で高病原性H5N1型ウイルスが検出され、鳥インフル感染拡大の懸念。

mRNA技術を活用したワクチン開発で、感染症拡大に備える取り組みが進む。

(ブルームバーグ): バイオ医薬品大手の米モデルナは、鳥インフルエンザ対応のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン開発を加速させるため、米政府から1億7600万ドル(約285億円)の資金を確保した。米国内の酪農場で高病原性鳥インフル感染が広がりつつあり、新たな公衆衛生危機を巡る懸念も強まっている。

オコネル米厚生次官補は単独インタビューで、2025年に開始される後期臨床試験への資金支援として、モデルナに1億7600万ドルを提供すると説明。ワクチン開発はパンデミック(世界的大流行)の恐れがある複数のインフルエンザ株を対象に調整され、それには現在確認されている鳥インフルも含まれる。

米疾病対策センター(CDC)によると、すでに12州で高病原性のH5N1型ウイルスが検出されており、農場労働者3人が今年感染している。当局は一般へのH5N1リスクは引き続き低いと判断している。オコネル氏は人から人への感染は確認されておらず、ワクチン接種は現時点では推奨されていないと述べた。

オコネル氏は「状況が変わった場合に備えるのがわれわれの仕事だ」と指摘。「18年に次のパンデミックとして何を見込んでいるかと専門家に尋ねていたなら、強毒性のインフルエンザだと答えただろう」と語った。

モデルナやファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチンの基礎となったmRNA技術の利点は、ウイルスが変異した場合に素早い適応が可能なことだ。これは鶏卵で培養されることが多い従来のワクチンに対して優位に立つ可能性がある。モデルナによる鳥インフルワクチンの初期研究の結果は今後数週間以内に見込まれている。

パンデミックインフルエンザ向けmRNAワクチンの開発で契約に至る医薬品会社はモデルナにとどまらない可能性がある。米政府は他の支援に関して追加発表を見込んでいるとオコネル氏は述べた。ファイザーとの交渉に関する質問に対し、同氏はコメントを控えた。