体長3m超! 1日約90kmを移動する種もいるナマコ、実はウニやヒトデの仲間

AI要約

ナマコは海のキュウリと呼ばれる棘皮動物で、世界に約1250種が存在する。

ナマコには脳も目もないが、体色や発光能力には多様性があり、食性や移動方法も特徴的である。

ナマコは深海や海底で生息し、砂を食べて栄養素をリサイクルし、生態系の健康を維持する重要な役割を果たしている。

体長3m超! 1日約90kmを移動する種もいるナマコ、実はウニやヒトデの仲間

 イボのような突起のある円筒状の体がキュウリを思わせるのか、ナマコは英語圏で「sea cucumber(海のキュウリ)」と呼ばれている。この風変りな生き物は無脊椎動物で、ヒトデ、ウニ、ウミユリと同じ棘皮(きょくひ)動物だ。

 世界には約1250種のナマコが生息している。海底やその近くに暮らし、中には海底に潜るものもいる。世界中の海の浅瀬で見られるが、深海にも生息する。ナマコに脳はない。しかし天敵から身を守り、食べ物を見つけ、海流にのって巧みに移動する能力を発達させてきた。

 ナマコにはキュウリのイボのような突起があるが、体の色は茶色から赤、オレンジ、黄色、白、青に至るまでさまざまだ。模様が入ったナマコもいる。現在、発光することが確認されているナマコは10種いるが、研究者たちはさらに200種以上が光を発する能力を持つと考えている。

 ナマコには脳がなければ目もない。体の大きさはさまざまだ。体長約2センチから2メートルのものが一般的だが、中にはオオイカリナマコのように3メートルに達するものもいる。

 ナマコの体表には、管足と呼ばれる突起が無数にある。管足の先端には吸盤がついていて、これを使って海底をゆっくりと移動したり、体を固定したり、獲物を捕まえたりする。しかし素早く移動する必要がある時は、大量の水を吸い込んで比重を下げ、浮力を得る。そして海流に身を任せ、1日90キロ近くも移動することができる。

 ナマコの食べ物は藻類やプランクトン、生物の死骸や排泄物など微細な有機物だ。ナマコの口の周りには管足が変化して触手となったものが8本から30本あり、それを使って食べ物をさらに細かくする。

 ナマコの中には触手のような管足を伸ばし、吸盤にくっついたプランクトンを口に運んで食べるものもいる。おいしい食事をしたあと、人が指をなめるような姿だ。

 他にも、海底を歩き回り、砂を食べながら排便するナマコもいる。砂に混ざった有機物を消化することで、砂を浄化し、海水をろ過し、栄養素をリサイクルする。陸のミミズと似たような働きだ。ナマコは生態系を健康に保ち、藻類の大量発生を防ぎ、海の酸性化を抑制するという重要な役割を担っているのだ。