全国1万2千の水道で国がPFAS実態把握へ 小規模水道も対象

AI要約

国が有機フッ素化合物(PFAS)による健康影響の懸念について水道水からの検出状況を調査中。

PFASは1万種類以上ある有機フッ素化合物の総称で、永遠の化学物質と呼ばれる。国内では2020年に暫定目標値を設定。

国が都道府県や事業者に水質調査の報告を求め、小規模な水道も初めて調査対象に。

全国1万2千の水道で国がPFAS実態把握へ 小規模水道も対象

 健康影響が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)について、国が水道水からの検出状況の調査を進めている。環境省と国土交通省が5月末、都道府県や事業者などに対し、9月末までに水道約1万2千カ所の状況を報告するよう求める通知を出した。小規模な水道も含めた調査は初めてになる。

 PFASは1万種類以上あるとされる有機フッ素化合物の総称。代表的なものがPFOSとPFOAで、人体や環境中でほぼ分解されないため、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。国内では2020年に、飲み水についてはPFOSとPFOAを合わせて1リットルあたり合計50ナノグラムとする暫定目標値を設定している。

 環境省によると、通知は都道府県などに対し、20~24年度に、PFASを調べる水質調査をしたか▽検出された場合の最高濃度▽検出された浄水場名――などの回答を求めた。

 また、今回の調査は小規模な水道も初めて対象とする。大学や病院、マンションなどで使われる自家用の水道で、事業者などに水質検査の実施を求める。

 水道に関する調査はこれまでにも日本水道協会が実施していたが、小規模な水道は対象外だった。すでに回答や問い合わせが来ているといい、環境省は「より検出実態を詳細に把握できる」としている。

 PFASについて、水道など飲み水の現在の目標値は、政府が海外事例を参考につくった暫定的なもの。健康への影響や、1日当たりの許容摂取量を食品安全委員会で現在まとめており、これを踏まえて環境省で新たな基準をつくる。(市野塊)