ウミグモのオスはなぜ「子煩悩な父親」なのか、南極の巨大種で謎を解く手がかりを発見

AI要約

タツノオトシゴのお父さんと同様に、ウミグモのオスも子育てに参加することが知られている。十分に多様な種が存在し、卵を保護し育てる父親の姿が観察されている。

ウミグモの進化に関して興味深い事実が明らかになった。長い時間をかけて、卵を体につける行動を発展させたことが示唆されている。

ウミグモは脚のみで構成されており、他の節足動物とは異なる特異な特性を持つ。オスは子育てに集中し、卵を運ぶ過程において様々な方法を使い分けている。

ウミグモのオスはなぜ「子煩悩な父親」なのか、南極の巨大種で謎を解く手がかりを発見

 タツノオトシゴのお父さんが子育てすることはよく知られている。しかし、ウミグモも似たようなことをすることは、あまり知られていない。

 長い脚を持つウミグモは、世界中の海に1500種ほどが生息している。潮の満ち引きの合間に潮だまりをうろつく小さなものから、極地の深海を歩きまわる大型のものまで、ほとんどのオスのウミグモは生まれる前から子どもを大切にする子煩悩な父親だ。そして、このほど発表された南極に生息する巨大なオオウミグモ(Colossendeis megalonyx)の研究で、父親の子育てがどのように始まったのかについて、新たな手がかりがもたらされた。

 かつて、オスのウミグモは、岩などの安全な場所に卵をつけていたのかもしれない。しかし、長い時の中で、子どもが生き延びやすいように、卵を自分の体につけることを覚えたようだ。

 ウミグモには、奇妙な点がたくさんある。オスのウミグモが子育てで重要な役割を果たすことも、そのうちのひとつでしかない。なお、ウミグモは節足動物(クモ、昆虫、甲殻類などが含まれる)ではあるが、クモの親戚というわけではない。

 実は、ウミグモの「胴」はとても小さい。内蔵はすべて脚の中にある。「ウミグモはすべて脚です」と話すのは、米オレゴン州立大学の進化生物学者、フェリペ・バレート氏だ。「ウミグモはウミグモとしか言えない動物です」

 オーストラリアのクイーンズランド博物館に勤めるウミグモの専門家、クラウディア・アランゴ氏によると、ほとんどの種のウミグモのオスは、担卵肢(たんらんし)という小さな脚を使って身だしなみを整えたり、受精卵を体にくっつけたりする。「これはかなりの大仕事です」

 卵を運ぶ方法は種によって異なる。粘液のようなもので覆った卵を体に乗せて運ぶ種もいれば、小さなボールのようにして転がす種も、脚に直接くっつける種もいる。

 オスが卵を運ぶのは、数週間から数カ月の間だ。ほとんどの場合、卵からかえったウミグモの幼生も、しばらく父親にくっついている。しかし、やがてイソギンチャクのような食料を見つけ、離れていく。