ヒガンバナの減少で奈良県明日香村の「彼岸花祭り」改名 「案山子祭り」に

AI要約

奈良県明日香村の秋の田園風景がヒガンバナで彩られるが、数が減少しており、ヒガンバナ祭りの名称が案山子祭りに変更される

ヒガンバナの減少原因は、猛暑や野生のイノシシによる影響で、現状の獣害対策には限界がある

地元住民は毎年ヒガンバナの球根を植えるが、イノシシとの問題が続く中、景観復活を目指している

ヒガンバナの減少で奈良県明日香村の「彼岸花祭り」改名 「案山子祭り」に

 秋の彼岸時期に奈良県明日香村の田園風景を赤く染めるヒガンバナ。かつては村内各地で咲き誇り、訪れる人の目をひきつけてきたが、近年では数が減少しているという。稲渕地区の棚田で1996年から続いてきた「彼岸花祭り」(22、23日)は、今年から「案山子(かかし)祭り」に名称変更することになった。

 案山子祭りを担当する村地域振興公社の幸脇和弘さん(38)によると、ヒガンバナは3、4年くらい前から村全域で減少が顕著になっているといい、「稲渕でもほとんど見かけなくなり、観光客の残念がる声を耳にすることも。祭りの名称として使用するのが心苦しくなった」と胸の内を打ち明ける。

 主な原因としては、猛暑が続く天候の影響や、ミミズなどを捕食する野生のイノシシが土を掘り起こし、地表に出たヒガンバナの球根が枯れてしまうことなどが挙げられる。しかし、現状では獣害対策ばかりに費用や労力をかけられないという。

 稲渕地区の住民らは以前の景観を取り戻そうと、毎年約500の球根を植えている。ただ、イノシシとの「いたちごっこ」が続く状況は変わらない。それでも幸脇さんは「景観復活を諦めたわけではない。ヒガンバナが戻れば、また『彼岸花祭り』に名称を変えたい」と話す。

 今年の案山子祭りは22、23の両日、同村稲渕の棚田展望台と案山子ロードで開催。村産の新米が抽選で当たる案山子コンテストやステージイベントなどを実施する。

 現地に駐車場はなく、近鉄飛鳥駅や石舞台地区と会場を往復する無料シャトルバスを利用する。