山車制作で不測の事態に、永く継続する在り方模索 新庄まつり、危ぶまれた開催

AI要約

新庄まつりは、ユネスコの無形文化遺産に登録された伝統的な祭りであり、42万人が集まる大規模なイベントだ。今年は人形師との連絡が取れなくなり、開催が危ぶまれる事態が発生したが、関係者が協力して開催を成功させることができた。

山車の製作には、各若連が様々な作業を行い、人形師が作った人形を使用する。しかし、人形師との連絡が取れなくなり、若連が急ピッチで対応する中、新庄まつりは開催された。

来年は新庄開府400年であり、新庄まつりは270年を迎える。関係者は地元住民の納得と誇りを持てるよう、知恵を出し合い解決策を探り、節目を祝うまつりとして継続していく意向だ。

山車制作で不測の事態に、永く継続する在り方模索 新庄まつり、危ぶまれた開催

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される新庄まつりは、新庄市の夏を彩る風物詩で、今年は8月24~26日の会期に42万人が集まり熱気とともに開催された。一方で今回は、山車(やたい)の人形を手がける人形師と連絡が取れなくなり、開催が危ぶまれる事態となった。これを踏まえ、持続可能な開催の在り方を模索する動きが出ており、今後の取り組みが注目される。

 新庄まつりは、飢饉(ききん)に苦しむ領民を励まし豊作を祈願しようと、1756(宝暦6)年に新庄藩主戸沢正●(まさのぶ)が天満宮の祭礼として始めたとされる。歌舞伎や歴史物語を題材とした、人形を配した山車の巡行が見どころだ。

 山車は市内の各若連が制作する。題材決定後に▽下絵▽骨組み作り▽紙貼り▽大道具・小道具作り▽色上げ▽人形作り▽照明付け―などの作業を行う。人形は各若連が人形師とリース契約を結び使用する。人形師が作った頭、手といった各パーツを、人形師側が各若連の内容に合うよう選ぶ。

 最上地域では、先行し金山町の「金山まつり」(8月14~16日)でも同じ人形師の人形が使われる。8月に入り、同町の若連側が人形師に連絡をしたところ、つながらなかったという。関係者が家族に連絡を取って、同11日に全5若連が新庄市内の作業場で人形21体を借り受け、急ピッチで準備を進めた。

 新庄山車連盟(横山哲哉会長)も同14日、若連の代表者を集めた緊急会議を開き、全20若連は同18日までに人形師の作業場や新庄ふるさと歴史センターなどから人形約100体を確保し、新庄まつりの本番に間に合わせた。「連携して何とかこの日を迎えられた」「細部にこだわりたかった」。会期中、関係者からは安堵(あんど)と複雑な思いを吐露する声が聞かれた。

 例年2月ごろには各若連がその年に巡行する山車の題材を発表する。関係者は「今後に向け、現実的な対応を考えていかなければならない」と話す。

 市議会9月定例会の一般質問でも取り上げられ、開催を巡り山科朝則市長は「後世に引き継ぐための態勢づくりを支援する」と述べた。同市はこのほか、国重要無形民俗文化財の用具修理、新調、伝承者養成の事業などが対象の民俗文化財伝承・活用等事業費国庫補助に触れ、「新庄まつりの人形に活用できるかを県に確認している」と説明した。県外在住の人形師から「何か手伝えることはないか」といった趣旨の問い合わせが寄せられていることも明かした。

 来年は新庄開府400年に当たり、新庄まつりは270年を迎える。地元住民が納得し誇ることができる内容で継続できるよう、関係する人々が知恵を出し合い解決への道筋を立て、節目を祝うまつりとしたい。

※言ベンに甚