基準地価、岐阜県内商業地32年ぶりプラス転換 高山市27%上昇、全国6位

AI要約

岐阜県の基準地価が発表され、商業地は32年ぶりにプラス成長となった。一方、住宅地は下落幅が縮まり、工業地は3年連続で上昇した。全体的には改善だが、住宅地の影響で全国順位は下がった。

高山市中心部の観光地がランキング上位に入るなど、地価の上昇が目立った。住宅地では低金利による需要回復があり、工業地は県内製造業の好調で推移が良かった。

地価の最高値や内訳も報告され、地域ごとの特徴や動向が分かる。基準地価の変化には様々な要因が影響していることが示唆された。

基準地価、岐阜県内商業地32年ぶりプラス転換 高山市27%上昇、全国6位

 岐阜県は17日、7月1日時点の県内の基準地価(365地点)を発表した。商業地の対前年平均変動率は0・6%(前年0・0%)で、バブル崩壊の影響を受ける前の1992年以来、32年ぶりにプラスとなった。新型コロナウイルス禍で一時は消失したインバウンド(訪日客)需要が完全復活し、高山市中心部の観光地にある基準地では全国6番目の上昇率だった。住宅地はマイナス0・8%(マイナス0・9%)で32年連続の下落となったが、下落幅は縮まり、93年以降で過去最小だった。工業地は0・7%(0・6%)となり3年連続で上昇した。

 全用途はマイナス0・4%(マイナス0・6%)と改善。ただ、都道府県別の全国順位は住宅地の影響で35位(34位)に下がった。1平方メートル当たりの平均価格は4万5500円(4万4300円)となり、全国順位は23位(24位)だった。

 選定替えのあった基準地を除き、前年との比較が可能な継続調査地点は349地点(350地点)あり、上昇は78地点(68地点)と前年より10地点増えた。10地点の内訳は商業地5地点、住宅地4地点、工業地1地点。横ばいは64地点(67地点)で、下落は207地点(215地点)だった。

 商業地では、上昇率の県内トップ3を高山市中心部が占め、いずれも対前年変動率は2桁の伸びを見せた。中でも古い町並みで知られる「高山市上三之町」は27・1%と全国すべての地点の中で6番目の高さだった。上昇率全国上位10地点のうち、観光関連は3地点で、高山市のほか長野県白馬村と東京都台東区西浅草の上昇率が大きかった。

 住宅地は、低金利環境の継続で住宅需要が回復基調を維持し、駅徒歩圏など交通利便性に優れたエリアで地価の上昇幅が大きくなった。ただ、円安の進行やウクライナなど海外情勢の混乱で高騰した建築費が住宅価格に転嫁されるようになっており、住宅需要に陰りが見え始めている。工業地は、県内製造業が堅調で工場などの用地需要も底堅く地価も好調に推移した。

 1平方メートル当たりの県内最高価格地点は、住宅地が「岐阜市金町6-17-1」で32万3千円。商業地は「岐阜市吉野町5の17外(大岐阜ビル)」の68万5千円で、17年連続のトップ。工業地は「各務原市テクノプラザ1の15(メニコン)」が5年連続トップで3万3800円だった。

 基準地の内訳は、住宅地249地点、商業地85地点、工業地23地点、林地8地点。