「原発が争点」はもはや過去? 薩摩川内市長選、立候補予定者説明会に出席したのは現職陣営のみ 1市4町4村合併後初の無投票か 40年超運転の課題ある中、関心低下を危惧する声も

AI要約

薩摩川内市では市長選挙が立候補予定者説明会が開催されたが、現職の田中良二氏の陣営のみが出席し、無投票の可能性が浮上している。

過去の市長選では原発議論が重要視されることもあったが、最近の選挙では議論が活発でなかった。

田中氏は運転延長の容認を表明しており、反原発団体は対立候補擁立に至らず、市民からは政策の検証や評価の機会が欠如しているとの声が挙がっている。

「原発が争点」はもはや過去? 薩摩川内市長選、立候補予定者説明会に出席したのは現職陣営のみ 1市4町4村合併後初の無投票か 40年超運転の課題ある中、関心低下を危惧する声も

 薩摩川内市選挙管理委員会は14日、任期満了に伴う市長選(10月20日告示、27日投開票)の立候補予定者説明会を市役所で開き、2期目を目指す現職の田中良二氏(67)の陣営のみが出席した。九州電力川内原発が40年超の運転延長期間に入り新たな局面を迎えたが、反原発団体などに擁立の動きは見られず、2004年の市制施行後で初の無投票となる可能性が出てきた。

 市民からは「候補者の考えを聞く機会がなくなる」「原発に対する市民の関心がさらに低下しないか」と危惧する声が上がる。

 薩摩川内市は「平成の大合併」の県内第1号として04年10月、旧川内市など1市4町4村が合併して誕生した。以降、5回の市長選には全て複数人が立候補している。

 川内原発が営業運転を始めた1984年7月以降の旧川内市にさかのぼると、合併までの約20年間に市長選は5回。2004年2月は唯一無投票だったが、約9カ月後に合併に伴う市長選を控える特殊事情があった。

 近年の選挙戦では、必ずしも原発議論が活発だったとはいえない。現職と新人の一騎打ちとなった12年は福島第1原発事故後の再稼働の是非で主張が分かれたが、続く16年は現職、新人ともに稼働容認の姿勢。前回20年は新人4人がいずれも運転延長への賛否を明言しなかった。

 田中氏は昨年12月、運転延長の容認を表明。現職市議からは田中氏に対して「目立った失策はない」と一定の評価をする声がある。一方で「無投票では、この4年間の政策の検証・評価ができない。全面的に市民の信任を得たとも言い難い」との指摘も聞かれる。

 運転延長に反対する市内の反原発団体は「適切な候補者がいない」として、現時点で対立候補の擁立に至っておらず、ほかにも動きは見られない。

 同日選となる定数26の市議選の説明会もあり、現職16、元職4、新人12の計32陣営が出席した。

 9月1日現在の選挙人名簿登録者数は7万5668人(男3万6642人、女3万9026人)。