【社説】韓国原発生態系復活の信号弾となった新ハンウル3・4号機建設

AI要約

韓国原子力安全委員会が新ハンウル原発3・4号機の建設許可を再開した。文在寅政権下で中断されていた建設が可能になり、安定的な電力供給が期待される。

脱原発政策により原発建設が遅れ、国内原発生態系が危機に直面した。電力供給の安定性を考慮すると原発建設の必要性が高まっている。

原発の強化はエネルギー安全保障や産業競争力の観点から重要であり、韓国の原発技術の競争力を高めることが求められている。

原子力安全委員会が昨日、慶尚北道蔚珍(ウルチン)新ハンウル原発3・4号機の建設を許可した。韓国水力原子力(韓水原)が2016年に建設許可を申請してから8年ぶりだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権の「脱原発政策」で中断した新ハンウル3・4号機の建設が可能になり、崩れていた原発生態系の復元と安定的な電力供給も期待できることになった。

新ハンウル3・4号機は政権によって変わる原発政策の象徴となってしまった。金大中(キム・デジュン)政権だった2002年に建設が本格的に推進され、2015年に「第7次電力需給基本計画」に反映された後、2017年2月に発電事業の許可を受けた。しかし文在寅政権の脱原発政策で原発建設事業と審査がすべて中断し、新ハンウル3・4号機の建設計画も白紙化した。脱原発の廃棄と原発生態系の復元を掲げた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権で建設審査を再開し、起死回生したのだ。

エネルギー安全保障と産業競争力を無視した脱原発政策の被害は深刻だった。国内原発生態系は枯死する危機に直面した。大学の原発関連学科は縮小し、関連業界の売上と人材も急減した。安定的な電力供給のための原発建設が時間を浪費したという批判も避けられなくなった。当初の計画に基づいて推進されていれば新ハンウル3号機は2022年に、4号機は2023年に竣工する予定だった。しかし来月初めに着工しても新ハンウル3号機は2032年に、4号機は2033年に竣工する見込みだ。完工の時期が10年延期された。

世界各国の「脱原発」の雰囲気の中、原発の復元に取り組むのは避けられない流れだ。温室効果ガスの排出がないエネルギー源の確保のほか、半導体と人工知能(AI)など先端産業の急増で電力需要に対応するために原発は必須不可欠だ。炭素中立のための再生可能エネルギーの場合、安定的な電力供給を担保できないだけに、無炭素エネルギー源の原発が必須という主張も強まっている。ロシア-ウクライナ戦争によるエネルギー問題も原発を通した安定的なエネルギー供給の重要性を刻印させた。

産業競争力の側面でも原発の強化は重要だ。韓国の原発は世界最高レベルの技術力と安定性が認められた分野だ。すでにUAEやチェコなどでへの原発輸出で競争力が認められているだけに、国内での原発建設で輸出にも弾みがつくことになった。政策による混乱の時間があったが、いま必要なのは崩れた原発生態系とインフラを復旧し、韓国の原発の競争力を強化し、「原発ルネサンス」を率いることだ。もちろん安全性の確保は必須だ。持続可能な原発のために「高レベル放射性廃棄物処理特別法」などの処理も迅速に進める必要がある。何よりも原発に関連した政策の連続性、一貫性を守ることが重要だ。国益を考慮しない政策に振り回されるのは一度で十分だ。