記録的大雨で被害もたらす”ゆっくり台風” 今後も発生する可能性あり 今後も台風の動向に注意

AI要約

台風10号が日本列島を横断し、記録的な大雨や暴風をもたらしました。遅い速度で移動したことが予測を難しくした理由や大気の状態など、さまざまな要素が影響しています。

台風から離れた地域でも雨雲が発達し、九州や東海地方で被害が出ました。地球温暖化の影響も考慮し、今後もゆっくりと進む台風が増える可能性があるため、注意が必要です。

気象庁の研究によると、日本に接近する台風の数が増加し、移動速度が遅くなっている傾向が見られることから、対策強化が求められています。

台風10号はこれまでの台風と異なり日本列島をゆるやかに横断して記録的な大雨や暴風ををもたらし全国では大きな被害が出ました。台風10号の動きを振り返るとともに台風の今後の動向について宇都宮地方気象台に話を聞きました。

宇都宮地方気象台の中根秀行気象情報官によりますと、「今回の台風10号は、最初北に上がり、その後北西方向、九州付近でまた北に上がり、最後は東に進路を変更して熱帯低気圧へと変わった。」ということです。

台風10号は、どうしてゆっくりとした速度で予測がつきにくい動きだったのでしょうか。

宇都宮地方気象台の中根秀行気象情報官は「太平洋高気圧のへりに沿って最初北そして北西方向に流れていって大陸側の別の高気圧に阻まれて北にゆっくり上がっていった。」と話します。

台風は離れた場所でも大雨をもたらしました。九州から関東を中心に発達した雨雲が断続的にかかり、宮城県や静岡県では総雨量が900ミリを超えるなど各地で記録的な大雨となりました。

宇都宮地方気象台の中根秀行気象情報官によると、「8月29日の天気図で、台風が日本の西にあり日本の東側に太平洋高気圧がある。日本海側から前線が延びている。台風と太平洋高気圧で南から温かく湿った空気が流れ、前線に向かって温かく湿った空気が流れ込みやすい状況になっていた。このため台風から離れていた関東地方や東海地方でも大気の状態が不安定になって大雨が降りやすい気象状況だった。」ということです。

線状降水帯も発生し突風や浸水被害、それに土砂災害などを各地にもたらしたほか、九州や東海で新幹線が運休するなど交通機関にも大きな影響が出ました。また気象庁気象研究所の研究で日本付近で台風が遅くなっているという分析があります。

1980年から2019年の40年間で7月から10月に日本に接近した台風の特徴を調べたところ期間の後半20年に当たる2000年以降の方が日本の太平洋側の地域に接近する台風の数が増えるとともに台風の移動速度も遅くなっていることが分かったということです。

その背景としては上空の偏西風が弱まっていることなどを挙げ、地球温暖化も影響している可能性があるということです。

今後もこのような台風は増えるのでしょうか。

宇都宮地方気象台の中根秀行気象情報官は、「地球温暖化の影響によってゆっくりと進む台風がやってくる可能性はある。強い台風がゆっくりとした動きになれば当然雨の降る時間は長くなるので降水量も増えるので土砂災害とか河川の氾濫洪水の危険性は高かまると思う。」と注意を促しました。

台風は今後も予測が難しい動きをとる可能性もあり動向に注意が必要です。