京都・鴨川の「危険なダム」、飛び込んで遊泳の高校生死亡 滝つぼのリスクと驚きの水深は

AI要約

京都市北区の鴨川の柊野堰堤(柊野ダム)で水難事故が発生し、遊泳や堰堤からの飛び込みが危険であることが明らかになった。

柊野ダムの滝つぼは底が見えず、水深も深く、危険性が高い。

専門家は、滝つぼに引き込まれる危険や水深によるリスクを指摘し、安全対策が必要である。

京都・鴨川の「危険なダム」、飛び込んで遊泳の高校生死亡 滝つぼのリスクと驚きの水深は

 京都市北区の鴨川の柊野堰堤(柊野ダム)で7月17日、高校1年の男子生徒が亡くなる水難事故があった。柊野ダムは、過去にも死亡事故があったが、夏場は泳いだり堰堤から飛び込んだりする人が後を絶たない。実際に現地を訪れて深さなどを調べるとともに、専門家にリスクを聞いた。

■渦巻く滝つぼ、底は見えない

 柊野ダムを管理する京都土木事務所によると、ダムは高さ7メートルと3メートルの2段の堰堤がある構造。法的な立ち入り規制はないが、立ち入りしないよう注意を呼びかける看板を設置している。しかし、夏場は飛び込んだり泳いだりして遊ぶ若者が目立ち、1995年にも遊泳中の大学生が死亡する水難事故があった。

 現地を訪れてみた。堰堤から水が滝となって流れ落ち、堰堤下の滝つぼはかなり深そうだ。特に、下段の堰堤下は泡を立てて激しく渦巻き、底が見えない。

■水深を調べてみた

 同事務所によると、上段の堰堤直下の水深は約2メートル、下段の堰堤直下は約2・5メートルで、底はコンクリートで覆われているという。

 京都新聞社は、堰堤直下以外の場所でも鉄製のおもりをロープに付けて水深を測ってみた。最も流れが激しい下段堰堤下の滝つぼ=地図(1)=は、川岸からわずか1メートル先で、2~2・5メートル程度の深さだった。

 流れが比較的緩やかな下段堰堤下の右岸付近=同(2)=は、川岸から約1メートル先で1・5~1・7メートル程度。下段堰堤から約15メートル下流付近=同(3)=は、川底がわずかに見えていたが1・5~1・7メートル程度で、大人でも足が付きづらいとみられる。

 同事務所は今回の水難事故を受け、ダムに立ち入らないよう目立つ看板に更新する予定。また、鴨川では三条大橋付近の落差工(人工的な段差)の下流も水深約2メートルといい、溺れる危険があるという。

■滝つぼのリスクは、上流側の水遊びも注意を

 こうした堰堤などの滝つぼは、どういった危険性があるのか。

 水難事故に詳しい明治国際医療大の木村隆彦教授(水難学)は「滝つぼは、底へ沈む水流と、再び上に向かう水流が複雑に渦巻き、底へ引き込まれる可能性もある。浮上するのも想像より時間がかかり、その間にパニックになって溺れてしまう」とし、底がコンクリという柊野ダムの構造についても「高所から垂直に飛び込むと、数メートルは体が沈む。頭から飛び込むと、コンクリに激突して首を骨折するなどの致命的なリスクもある」と指摘する。

 また、柊野ダムのすぐ上流は比較的浅い場所が多く、家族連れが水遊びをすることも多い。木村教授は「浮輪や救命具を着けて深い場所に行くと、浮力で水流に乗って流されるリスクが高まる。浮輪や救命具を着けていても、膝より深いところに行かないことが重要」と警鐘を鳴らす。