「退職金でNISAをはじめませんか?」と銀行で案内がありました。年金が少なかったらと不安なので、始めた方がよいのでしょうか?

AI要約

退職金を使って60歳からNISAを始める際の注意点やポイントを解説。

NISAは長期積立・分散投資が必要で、短期間の投資や運用年数の不足によるリスクがある。

金融庁の資料から、保有期間による運用成果の違いを示し、元本割れリスクが高まる可能性を説明。

「退職金でNISAをはじめませんか?」と銀行で案内がありました。年金が少なかったらと不安なので、始めた方がよいのでしょうか?

年金が心配だから、退職金でNISAを始めようと考える人もいるでしょう。NISAは投資初心者でも利用しやすい制度であるものの、60歳以降から始める場合、リスクがあるため注意が必要です。

本記事では、60歳からNISAを始める場合の注意点やポイントについて解説しています。NISAの利用を検討している人は参考にしてください。

NISAとは、少額投資非課税制度のことです。通常、投資で得た運用益には約20%の税金がかかります。しかしNISA口座で投資をした場合は非課税である点がポイントです。少額から投資できるため、初心者であっても利用しやすいでしょう。

NISAは2014年1月にスタートしていますが、2024年からは新制度に内容が拡充されています。非課税保有期間が無期限になり、年間投資枠が増えるなど、より使いやすくなっているといえます。

60歳で定年退職し、退職金でNISAを始めたいと考える人もいるでしょう。しかし投資を始めるには遅いのではないか? リスクが増してしまうのではないかと心配する人もいます。

本項では、60歳以降にNISAを始める場合に注意しておきたいポイントを解説します。デメリットを知った上で、NISAを始めるか検討するとよいでしょう。

■短期間の投資は元本割れリスクがある

2024年1月からスタートした新NISAは、つみたて投資枠で年120万円(月10万)、成長投資枠で年240万円(月20万円)まで投資可能で、あわせて年360万円まで投資できます。そのため、退職金を使って一気に短期間で投資することも可能です。

しかし、NISAは長期の積立・分散投資をすることでリスクをおさえる制度であることを忘れてはいけません。金融商品の価格が高いタイミングに集中して購入してしまうと、元本割れをするリスクが増します。

■運用年数を確保できない

NISAは長期運用によってリスクをおさえる投資方法です。そのため、60歳からNISAを始めるとなると運用年数を確保できません。

保有年数が違うと、同じ額を投資していたとしても運用成果は変わります。保有期間5年と20年でどれくらい成果に違いがでるか、金融庁「はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック」から見ていきましょう。

・保有期間5年……100万円が5年後に74~176万円

・保有期間20年……100万円が20年後に186~331万円

長い期間運用を続けることで、元本割れのリスクをおさえられるとわかります。つまり、60歳以降で運用期間が確保できない場合は元本割れのリスクが高まるでしょう。