「同性愛者かもね…」女っ気のなかった兄・弟の悔し涙《LGBTQカップル住民票続柄問題》【第4回/第4回】

AI要約

藤山さんと松浦さんがカミングアウトを通じて家族との関係を見つめ直す姿。

藤山さんの兄が告白していた男性愛が夫婦生活にまで影響を与えていたこと。

2人のカップルが大村市で「世帯主」「夫(未届)」として住民票を交付されたことによる注目と賛否。

「同性愛者かもね…」女っ気のなかった兄・弟の悔し涙《LGBTQカップル住民票続柄問題》【第4回/第4回】

惹かれあって結ばれた松浦慶太さん(39)と藤山裕太郎さん(39)。LGBTQ自認者に対する差別と、自身の中の葛藤に苦しみながら生きてきた2人が直面している《住民票続柄》問題を見つめるシリーズ最終回。

■女っ気がなかった兄

「話がある」ー藤山裕太郎さんの弟・雄大さん(33)が兄からカミングアウトを受けたのは去年5月のことだった。呼び出した兄がなかなか話を切り出さない姿に、「カミングアウトだ…」と思った。兄のいない所で「もしかしたら男性が好きなのかもしれないね」と家族で話をしていた。

藤山 裕太郎さん:

「付き合っている人がいるって言ってたんだけど、男の人なんよね…」

弟・雄大さん:

「なるほどね、いいんじゃない」

■弟が流した悔し涙

兄の告白に、雄大さんはできるだけ「普通に」応じた。しかしその後、既に結婚していること、結婚式も挙げたこと、家族に迷惑をかけたくなくて言い出せなかったことを聞いて涙がこぼれた。悔し涙だった。

雄大さん:

「もっと早く話を聞いていたら、みんなで結婚式に駆け付けたのに」

家族に心配をかけまいと、男性を愛した事実を隠した兄。その優しさが、兄自身を苦しめていた。家族仲が良かった分だけ言い出せず、兄が苦しみ続けてきたことを思うと胸が締め付けられた。自分が想像していたより、何倍も何十倍も、兄の苦しみは深いことを初めて知った。

■全国から寄せられる賛同と批判

その後、藤山さんと松浦さんのカップルはカミングアウトを受け入れてくれた藤山さん家族が住む長崎県に移住。移住先の大村市は「パートナーシップ宣誓制度」を導入して性的マイノリティへの理解促進に取り組んでいる。自治体の裁量の範囲内である《住民票》には、2人の希望通り「世帯主」・「夫(未届)」と記して交付した。

異性の事実婚カップルと同様の記載扱いは全国から注目を集め、大村市のもとには、2人が会見を行った5月28日~7月17日までの間に、全国から58件の声が寄せられた。いつもは1日1件あるかないかだというから異例の多さだ。