同性同士も“いいふうふ”に…パートナーシップ制度で認められた男性カップル 踏み出した平等への第一歩

AI要約

岐阜県でパートナーシップ制度で認められた男性カップルの物語。公営住宅の入居や緊急連絡先指定などの特典を享受しつつ、同性婚が認められない現状に対する不安も抱える日常。

2人が出会い、パートナーシップを選択するまでの経緯。友人からパートナーに発展し、共に人生を歩むことを決意する。

同性カップルによる集団訴訟の現状や法的課題。憲法違反とされる判決も示されつつ、同性婚の合法化には道のりが残されている。

同性同士も“いいふうふ”に…パートナーシップ制度で認められた男性カップル 踏み出した平等への第一歩

2023年11月、岐阜県のパートナーシップ制度で第一号に認められた男性カップルがいる。2人は、この制度をきっかけに家族や友人らにカミングアウトした。今は、同じ悩みを抱えている人たちに「勇気や希望を与えたい」と、新たな人生を歩み始めている。

岐阜市で共に暮らす、谷村祐樹(たにむら・ゆうき 36)さんと中村文亮(なかむら・ふみあき 36)さん。

中村文亮さん:

今日掃除してたんですけど、午前中。なんか寝てたんですよ、僕めっちゃ掃除しているのに。「おい!」みたいな。

谷村祐樹さん:

ちょっと疲れちゃったんですよ。疲れて2階のベットで猫と転がっていたら怒られました。謝りました。

2人は、2018年に青年海外協力隊の職員と参加者として出会った。

中村文亮さん:

「遊ぼうか」ってなって、2人で会ってそこからですね。ぼくは、その時から「一緒に生きていけたらいいな」と思っていたので。

全国で広がり、岐阜県でも2023年9月に始まった「パートナーシップ宣誓制度」。2人は、その第一号として認められ、9月1日、岐阜県庁で宣誓書受領証が交付された。

2人は「友人」ではなく、人生を共に歩むことを決めた「パートナー」だ。

互いを「家族同等」の存在として、公営住宅の入居が認められるほか、パートナーを医療機関からの緊急連絡先に指定することなどができる。

中村文亮さん:

一緒に住もうってなったときに、家探しが苦労したし。

谷村祐樹さん:

家が見つからなかったらどうしようとか、不安を抱えながらの家探しではあったので、すごくハードルが高かったです。

ただ、2人は「家族」として認められているわけではない。

日本国憲法24条1項には、「婚姻は両性の合意のみに基いて成立」と書かれている。“同性同士の結婚”が認められない壁の1つだ。

認定制度がなければ、事実上の「家族として」生きていくことを選んでも、パートナーが手術する際の同意や、病状の説明を受けられない。亡くなった場合の相続も原則認められないなど、様々な不利益がある。

パートナーシップ制度認定前の2人も、不安に駆られたことがある。

ある時、中村さんが深夜になっても帰宅せず、LINEの既読もつかずに連絡がとれない時があった。谷村さんは「死んだと思った」という。

谷村祐樹さん:

12時すぎてもLINEに既読がつかなくて、どこ行っちゃったんだろうなと思って。帰ってきたら、「同僚とすごい話込んじゃっていた」みたいなことを言ってて。連絡くれればいいのにと思ったことあります。

中村文亮さん:

「死んだかと思った」と言ってた。

“帰りが遅い”ということだけにみえるが、「家族」として認められていないことが、「もしかしたら」という不安を膨らませていたという。

法を巡る判断は分かれている。2023年11月現在、同性カップルが全国5カ所で起こした集団訴訟の1審判決では、「憲法違反」が2件、「違憲状態」が2件、「合憲」が1件だ。

このうち、憲法違反とした名古屋地裁の判決では、「同性愛者を婚姻制度から排除することで大きな格差を生じさせ、何ら手当てがなされておらず、もはや無視できない状況」だと、強い言葉で指摘した。

ただ、同性愛への理解は進んでも、法律で「同性婚」が認められたわけではない。