八戸・対泉院「大賀ハス」別種、植え替えへ

AI要約

青森県八戸市新井田の対泉院の「大賀ハス」が純系ではなく、別品種であることが分かった。純系への移植を決意した上田祥悦住職は、3年計画で植え替えを進めることを決意。別品種であることが外部専門家に指摘され、純系の大賀ハスがプランターで開花した。

宇都宮市で活動する洋造さんの指摘により、同院のハスが純系の大賀ハスと異なることが明らかになった。長年市民に親しまれたハスの正体に気付いた住職は、間違いを認める勇気を示し、純系大賀ハスを植え替えていく意思を表明した。

純系大賀ハスとして親しまれてきたハスの活用が検討される中、上田住職は本物の大賀ハスで池をいっぱいにしたいと述べた。

八戸・対泉院「大賀ハス」別種、植え替えへ

 青森県八戸市新井田の対泉院の「大賀ハス」が純系ではなく、別品種であることが外部専門家の指摘で分かった。同院の貴福池に1970(昭和45)年に植えられ、50年以上市民らに親しまれてきたが、上田祥悦住職(77)は「正さないのはこれから見に来てくれる人のためにならない」と純系への移植を決意。今後3年計画で植え替えを進める。

 大賀ハスは、植物学者の故大賀一郎博士が51年に千葉市で2千年前のものと想定される種子を掘り当て、発芽させた。ハスの名前は博士の姓にちなんで付けられた。八戸市へは、同市の建設会社社長が大賀博士を支援した縁で、69年に同市是川にある清水寺の池に移植された。ところが、日照不足などで枯死し、70年に対泉院に植えられた。翌年8月に開花し、これまで一重咲きの薄桃色の花を咲かせてきた。

 間違いに気付いて指摘したのは、宇都宮市で宇都宮城跡蓮池再生検討委員会事務局長を務める印南(いんなみ)洋造さん(74)。純系の大賀ハスを所有する印南さんは、2021年に知人から送られた画像で、同院のハスが純系の大賀ハスと異なる点に気付いた。

 印南さんによると、純系は(1)葉がすべすべしてなめらか(2)花弁に伸びる条線が不鮮明-などの特徴を持つ。比べると、同院のハスは条線がはっきりし、葉の表面がざらついている。

 23年8月、印南さんが同院を訪れて調査後、別品種であることを住職に伝えた。上田住職は「話を聞いたときはショックだったが、葉を触ると違いが分かり、認めざるを得なかった。間違いであることが分かっていてそのままにするわけにはいかない」と印南さんに協力を依頼。印南さんから譲り受けた純系大賀ハスを池の脇のプランターで育て、今年8月7日早朝に開花させた。

 印南さんは「長年親しまれてきた大賀ハスを否定するのは勇気がいった。ただ、当事者の住職が見直した勇気は立派」と評価。その上で、「住職もこれまでのハスを殺生するのはつらいと思う。別の場所に保存することも一つの方法。行政の積極的な関わりがあってもいい」と話した。

 長年愛されてきたハスは活用が検討される。上田住職は「純系に植え替えを進め、本当の大賀ハスで池をいっぱいにしたい」と思いを述べた。