【鹿児島県震度5強】専門家は震源地・日向灘に「割れ残り」があるとみる。南海トラフ地震臨時情報発出から1週間、巨大地震発生の可能性は続く。揺れ・津波への警戒怠らず防災の備えを

AI要約

気象庁が南海トラフ地震に注意を呼びかけてから1週間経過。マグニチュード7.1の地震が日向灘で発生し、専門家は日向灘で同程度の地震が再び起きる可能性を警告。

専門家によると、日向灘地震は30年周期でM7クラスの地震が起きるパターンで、今回は前回の1996年以来の発生。南海トラフ地震につながる可能性は低いとされる。

ただし、今回の地震で日向灘でM8クラスの巨大地震が発生する可能性があるため、十分な備えが必要とされている。

【鹿児島県震度5強】専門家は震源地・日向灘に「割れ残り」があるとみる。南海トラフ地震臨時情報発出から1週間、巨大地震発生の可能性は続く。揺れ・津波への警戒怠らず防災の備えを

 気象庁が南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)を出してから15日で1週間。マグニチュード(M)7.1の地震が発生した日向灘には、8日の地震で破壊されなかった「割れ残り」があるとみられ、専門家は「南海トラフ地震につながる可能性は低いが、日向灘で同程度の地震が起きる可能性は高い。目安となる1週間を過ぎても備えの確認を怠らないでほしい」と注意を呼びかけている。

 京都大学防災研究所宮崎観測所(宮崎市)の山下裕亮助教(観測地震学)によると、日向灘地震は30年周期でM7クラスが発生し、今回も繰り返し起きているプレート境界地震の一つ。前回は1996年の10月(M6.9)と12月(M6.7)に続けて起きた。

 臨時情報(巨大地震注意)は、想定震源域でM6.8以上の地震が起きると発表される仕組みだが、山下助教は「これまで日向灘の地震が南海トラフ地震を誘発した事例は確認されていない」と指摘する。つながったプレート境界上にはあるが、南海トラフの心臓部にあたる四国沖や紀伊半島沖とは、ひずみのたまり方が異なるとして「今回の地震で南海トラフ地震が発生する可能性は低い」と説明する。

 ただし、今回と同程度の地震が日向灘で再び発生する可能性は高いという。同観測所の解析では、96年10月の震源域北側付近で余震がなく、プレートの破壊が進まなかった「割れ残り」が生じている可能性がある。

 さらに山下助教は、この領域で再び地震が起きた場合、10メートルの津波が襲来する可能性も指摘する。

 山下助教らは、日向灘で最大規模の「外所(とんところ)地震」(1662年)の断層モデルを構築し、プレート境界の浅い領域がゆっくり滑る「スロー地震」との相互作用で地震が巨大化したとの評価結果を発表。規模はM7.9と推計した。今回の地震でもスロー地震が浅い領域で活発化しており、「割れ残り」と併せて「日向灘単独でM8クラスの巨大地震が発生する前提条件が整いつつある」とみる。

 山下助教は「現在の科学技術で地震がいつ起きるかはわからない」とした上で、「次の地震は今回より震源域が浅く、津波が高くなる可能性がある。神経質になる必要はないが、リスクを確認した上で日常生活を送り、警報が出たらすぐに逃げることに尽きる。レジャーの際も事前に避難経路を確認することを習慣化する機会にしてほしい」と話した。