再び聖地甲子園へ 有言実行の夏 長崎・創成館のエースと主将 勝利の立役者に

AI要約

昨夏の甲子園で誓った2人が創成館を2年連続甲子園へ導く

入部後の驚きと挫折を乗り越え、心身ともに成長した2人の絆

向段の決勝点と村田の完封で勝利し、笑顔で次なる挑戦を誓う

再び聖地甲子園へ 有言実行の夏 長崎・創成館のエースと主将 勝利の立役者に

 「来年は俺たちがみんなを甲子園に連れて行こうな」

 昨夏の甲子園。創成館が3回戦で沖縄尚学に敗れた日の夜。2年生で出場した主将の向段とエース村田は固く誓った。あれから1年-。長崎日大と海星が「2強」と評されていた長崎大会を勝ち進み、創部初となる2年連続甲子園切符を手にした。全国1勝もつかんだ。有言実行の夏になった。

 2人の出会いは小学6年の頃。軟式野球の福岡市選抜で同じチームになった。その後、クラブチームの「糸島ボーイズ」に進み、友人として、ライバルとして白球を追った。創成館進学を先に決めたのは向段。「あいつが行くなら頼もしい」。村田も後を追った。

 入部後は驚きの連続だった。部員100人超の強豪の厳しい練習、チーム内競争、慣れない寮生活-。何度も心が折れそうになったが、励まし合って頑張ってきた。そこでもまれて心身ともにたくましくなった2人は昨夏、甲子園でベンチ入り。向段が「14」、村田は「18」の背番号をもらった。

 甲子園でも向段が3回戦でスタメン出場。村田も2回戦で好投した。「来年は背番号を4と1にできたらかっこいいよな」(向段)。新チームに思いをはせた。

 だが、そう簡単にはいかなかった。村田は不安定な投球が続き、稙田監督の信頼を得られなかった「こんなんじゃエースナンバーは渡せない」。背番号はずっと「18」のままだった。

 追い打ちをかけるように、チームを引っ張ってきた背番号「4」の向段が4月中旬、肺気胸で戦線離脱。「あいつに負担をかけ過ぎたのかもしれない」。村田は反省すると同時に、もう一度、自らの立場を考えた。エースとしての自覚を持つことの大切さを再確認した。迎えた夏の長崎大会。責任感が強くなった村田の背中には初めて「1」があった。復調した向段も攻守の要として活躍した。2人とも思っていた通りの背番号で、チームを甲子園に導いた。

 この日も2人は聖地で精いっぱいのプレーを披露した。向段は0-0の三回1死三塁で打席に立つと、甘く入った直球を振り抜き、決勝点となる犠飛を放った。先発した村田は「あいつが1点取ってくれた。絶対に抑える」と懸命に腕を振り続けて6安打完封。2人が1-0の勝利の立役者となった。

 試合後、照明がともった甲子園のグラウンド。最高の場所で、2人の最高の笑顔が並んだ。「次もスコアボードに0を刻んで創成館の守り勝つ野球を全国に見せていく」(村田)。エースと主将の夏は、まだまだ終わらない。