福島県いわき市に国連機関の拠点 研修センター、11月にも 震災、原発事故プログラムに 地域リーダー育成

AI要約

国連訓練調査研究所(UNITAR=ユニタール)が、福島県いわき市に国内初の地域リーダー国際研修センター(CIFAL=シファール)の日本拠点を設立する。

シファールは地域で活躍する人材を育成し、東日本大震災や福島原発事故の経験を踏まえた研修プログラムを通じて地域課題の解決に取り組む。

設立により年間2千人の受講者を目指し、約100人の雇用創出も目指す。

福島県いわき市に国連機関の拠点 研修センター、11月にも 震災、原発事故プログラムに 地域リーダー育成

 国連の研修機関の国連訓練調査研究所(UNITAR=ユニタール)は11月にも、地域で活躍する人材を育成する「地域リーダー国際研修センター(CIFAL=シファール)」の日本拠点を福島県いわき市に設立する。シファール設置は国内で初めて。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の経験を踏まえて研修プログラムを構築し、地域課題の解決や国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現に取り組む。

 シファールはユニタール本部との協定の下、自治体や地域教育機関が運営主体となり、行政や民間のリーダー人材を育てる研修を行う。いわき市に開設されるのは「CIFALジャパン国際研修センター」。市内で東日本国際大などを運営する学校法人昌平黌と市が事務局を担う。初代所長に内田広之市長が就く。

 内田市長は「市内外の若者や企業人材など幅広い層を対象に、市内で当面10件程度の講座を開設し、年間約2千人の受講を目指す」とし、将来的にはシファールの設置に関連して約100人の雇用を生み出す目標を掲げた。

 研修内容や運営体制、対象者などの詳細は今後、いわき市と昌平黌が主体となって詰める。国連の認証基準を満たした上で震災と原発事故、復興、廃炉、防災など、福島県特有の課題を踏まえた内容を構築する方針。ユニタールや大阪大と連携してシンポジウムや国際会議の開催も検討し、市を国際都市として世界に発信する機会にもつなげる。

 関係者によると、東日本国際大客員教授の星野千華子氏の夫で、元国連大使の星野俊也大阪大大学院国際公共政策研究科ESGインテグレーション研究教育センター共同代表の仲介でシファールのいわき市設置が実現したという。

 ニキル・セス国連ユニタール総代表・国連事務次長補と内田市長、緑川浩司学校法人昌平黌理事長らが7日、大阪市で開かれた国連関連の会合で、年内のシファール設立に向けた基本合意書を交わした。早ければ11月にも本協定を結ぶ。

 シファールはロンドンやシンガポールといった世界の31カ所に拠点があり、2023(令和5)年には422のイベントを開いて約9万7千人が参加した。各地の拠点が相互に連携し、研修で学んだ事例や知識を都市間で共有できる国際ネットワークも構築されている。