愛知・蒲郡沖でカキ養殖事業に挑戦

AI要約

蒲郡漁業振興協議会はカキ養殖の事業化に挑戦し、三谷地区と竹島地区に稚貝を投入した。

各漁協が親睦を図りながら漁業知識の交流を進め、若い世代に漁業への興味を持たせる取り組みをしている。

将来的には漁業産業振興や観光業にも貢献する新たなブランドとしてカキを販売、流通させたいと考えている。

愛知・蒲郡沖でカキ養殖事業に挑戦

 愛知県蒲郡市の蒲郡漁協と三谷漁協で組織する市漁業振興協議会は、蒲郡の沖合でカキ養殖の事業化に挑戦しようと検証を進めている。2日、三谷地区と竹島地区の漁場に生食用マガキの稚貝を投入した。協議会長で三谷漁協の小林俊雄組合長は「始まったばかり。長い時間をかけて技術を確立できれば、期待できると思う」と話した。【林大二朗】

 会は各漁協の親睦を図りながら、漁業知識の交流と技術経営の近代化、水産業の振興発展に向けた調査、研究をしている。

 養殖は市などと連携し、昨秋から始めた。中心のアサリ漁などをしながら、兼業として養殖することで市内の水産業に持続可能をもたらす。「育てる水産業」の推進と漁師の所得向上につなげ、若い世代に漁業に興味を持ってもらう。

 現在は試験的に養殖ができるかの確認と検証をしており、販売はしない。しかし、将来的には区画漁業権を獲得し、新たな蒲郡のブランドとして販売、流通させ、観光業などの産業振興にもつなげたいとしている。

 昨年はカキのスマート養殖事業を展開する「リブル」(本社、徳島県)の技術指導などを受けながら、三谷漁協の漁場で小規模で取り組んだ。今年は蒲郡漁協の竹島地区を加えて大規模にした。各漁場で違う条件下でどんなカキができるのか、必要な作業人数を試算し、実際に兼業が可能かを調査する。

 この日、三谷漁港ではリブルの早川尚吾CEO(最高経営責任者)が1万500個の稚貝を用意した。三谷漁協の組合員と一緒に稚貝を専用の筒に入れた。その後、漁場に設置した50㍍のはえ縄3本にかごを取り付けた。今後は8~10カ月の期間でカキの生育の様子を見ながら、リブルから管理の仕方を教わる。

 早川CEOは「カキは生態としてタフな生き物で養殖に導入しやすい。インドネシアでは、日本から届く品質の高いカキのニーズがすごく高い」と話した。「新たな取り組みとして始まることはうれしい。海の特性に合わせてのやり方を助言したい。地元漁師と協力して今後も続くような産業にしていきたい」と述べた。