宇部保護司会「地域援助」で再犯防止へ 法改正で取り組み推進【宇部】

AI要約

改正更生保護法の施行により、保護観察所が再犯防止に地域援助を提供し始めた。

地域援助は再犯防止を目的とし、新たな支援ネットワークを構築するための制度である。

保護司が元対象者や関係者の悩み解決に取り組み、地域社会の安心・安全を守る取り組みが進められている。

宇部保護司会「地域援助」で再犯防止へ 法改正で取り組み推進【宇部】

 改正更生保護法が昨年12月に施行され、保護観察所が再犯防止に貢献するための「地域援助」が始まった。これに伴い、保護司も今年度からこれまで職務の対象外だった、過去に担当した保護観察の元対象者やその関係者などの悩みの解決へ本格的に取り組んでいる。

 

 地域援助は、満期出所者や元対象者などから要望があれば、保護観察所が情報提供や助言などをする制度。目的は再犯防止で、新たな支援のネットワークづくりを視野に入れている。

 

 昨年版の犯罪白書によると、刑務所を出所した人が再犯で戻ってくる再入率は、5年以内で34・8%、10年以内で44・6%(いずれも総数)と高い割合で推移している。このため、息の長い支援が求められていた。

 

 保護司が元対象者を含めて悩みを抱えた人の相談に応じるケースはあったが、法改正はそれを明確化した側面もある。

 

 宇部保護区保護司会(末田英明会長、77人)は、2012年に事務局を市役所内から更生保護サポートセンターうべ(市多世代ふれあいセンター4階)に移して以降、保護司が常駐しており、相談が寄せられると、解決に適した市内の機関や団体などにつないできた。観察所にもつなげられるようになり、選択肢の増加を歓迎する。

 

 末田会長は「悩みの解決が、再犯防止につながり、安心・安全な地域社会をつくる。保護司一人一人が積極的に地域援助を進めてほしい」と期待を込める。

 

 同会による今年度の地域援助の件数は、7月29日現在で1件。相談者は元対象者の男性で、以前にも親身な対応を受けた経験から利用した。就職活動が難航していたが、同会から保護観察所を経てハローワークにつないでもらい、状況が好転したという。

 

 男性は利用した結果として「出所者や元対象者には、事情を分かった上で適切な助言をしてくれるさまざまな支援の仕組みがあるので、困ったら安心して活用すべきだ」と訴えた。

 

 山口保護観察所の冨田美紀統括保護観察官は「観察所としては地域援助のネットワークづくりが今後の課題。宇部市は重層的支援体制整備に取り組んでおり、これに関わらせてもらうのも一つの方法」と語った。