七尾沖に猛毒ダコ 能登の海に異変 水温上昇影響か

AI要約

七尾市の日本海沿岸で30日、猛毒を持つ「ヒョウモンダコ」が見つかった。専門家によると、石川沖で確認されるのは珍しい。海水温の上昇で分布域が広がった可能性がある。

ヒョウモンダコはフグ毒と同じ成分を含み、危険な生物として知られている。触れないように注意が必要。

七尾湾ではクラゲが大量出没し、漁師らは海の異変に困惑している。藤井教授によると海水温の上昇が影響している可能性がある。

七尾沖に猛毒ダコ 能登の海に異変 水温上昇影響か

 七尾市の日本海沿岸で30日、猛毒を持つ「ヒョウモンダコ」が見つかった。かまれると死に至ることがある危険な生物で、専門家によると、石川沖で確認されるのは珍しい。本来は南方の海に生息しており、海水温の上昇で分布域が広がった可能性があるという。七尾湾では、例年なら旧盆を過ぎてから姿を現すクラゲが大量出没して底引き網漁の妨げとなっており、漁師らは海の相次ぐ異変に困惑している。

  ●海水浴で注意を

 タコは30日午前、七尾市庵町周辺の海で地元の男性漁師が発見、捕獲した。見慣れない模様だったため、のとじま臨海公園水族館で海洋生物の研究に携わってきた池口新一郎元副館長に確認を依頼し、ヒョウモンダコと判明した。

 ヒョウモンダコの唾液には、しびれや呼吸困難を引き起こす、フグ毒と同じ成分「テトロドトキシン」が含まれる。2010年ごろから福井の三国沖や山陰沿岸などで個体が確認されるようになったが、石川県水産総合センター(能登町)には、県内で捕獲された記録は残っていないという。

 池口さんは「七尾市沖で見つかったということは県内全域に生息している可能性がある」と指摘。県水産総合センターによると、今後、捕獲例が増える可能性があり、海水浴などで見つけた際には触れないよう注意を呼び掛けている。

 東大大気海洋研究所の藤井賢彦教授(海洋学、環境科学)は、海水温の上昇により、南方に分布する海洋生物の生息域が北上したとみている。県水産総合センターのデータによると、七尾湾の今年4~7月の水温は過去5年平均と比べて0・5~3・7度高く、藤井教授は「熱帯や亜熱帯の生き物が暮らしやすい環境になっていると考えられる」と話した。

  ●石崎漁港はクラゲ大量 底引き網にびっしり

 29日夜、七尾市石崎漁港から出漁した底引き船7隻の網には、クラゲがびっしりと掛かっていた。カニやエビなど肝心の漁獲はわずかで、刺し網漁船1隻も4匹のスズキを捕獲しただけだったという。

 石崎漁港は地震後、海底に漂着したごみの除去作業が進められ、今月12日にようやく漁を再開した。県漁協七尾支所の竹内大生運営委員長は「こんな数のクラゲは見たこともない」と驚き、「せっかく再開したのに漁にならない。もしかすると、これも地震の影響なのか」とため息をついた。