カヌーレジェンド「羽根田兄貴」人生変えた出会い 岐阜出身・田中雄己「狙うは五輪メダル」

AI要約

田中雄己(22)が羽根田卓也(37)との出会いをきっかけにカヌー競技に真剣に取り組むようになり、目標を見据えてパリ五輪を目指す姿が描かれている。

羽根田のアドバイスに感銘を受けた田中は変化し、カヌー界での成績も急上昇し、五輪切符を手に入れるまでになった。

田中は「狙うはメダル獲得。もちろん一番上を」と自らの目標をはっきりと語り、競技への決意を示している。

カヌーレジェンド「羽根田兄貴」人生変えた出会い 岐阜出身・田中雄己「狙うは五輪メダル」

 「あの出会いがなければ、きっとここまで競技を続けていなかったと思う」。パリ五輪のカヌー・スラローム男子カヤック代表で、30日のシングル予選に臨む岐阜県中津川市出身の田中雄己(22)。世界トップレベルの選手に躍り出たきっかけは、日本カヌー界のレジェンド、羽根田卓也(37)との出会いだった。

 羽根田は愛知県豊田市出身。2016年リオデジャネイロ五輪では3位に入り、日本勢初となるカヌー競技でのメダルを獲得した第一人者だ。パリ五輪は5大会連続の出場となる。

 初めて出会ったのは、東京五輪が終わった後の2021年。遠征先の岩手県だった。「カヌーは好きだけど、五輪を目指すほどではなかった」という田中。食事をする際や移動時に、日本のカヌー界を切り開いてきた羽根田が語るトップアスリートとしての心構えに耳を傾けた。

 「何も考えずに競技だけやるのはもったいないよ。そんな状態で競技に取り組んでも、終わった後は何も残らないんじゃない?」

 衝撃を受けた。既に高校、大学では結果を残していた田中だったが、図星を突かれた思いだった。自分の目標は何なのか。カヌーを通じてどういう自分になりたいのか。「心を打たれ、人生観が変わった」と田中。羽根田に弟子入りし、一緒に練習する間柄に。いつしか羽根田を「兄貴のような存在」と慕うようになった。

 田中の変化を感じ取ったのは、幼少期から見つめ続けてきた県カヌー協会の加藤哲平さん(42)。「人間性が変わったくらい、競技に対する姿勢が変わっていった」と実感。「(羽根田の)一言一言に説得力があり、響いたのだと思う」と語る。

 目標を固めた田中の上昇曲線はすさまじかった。国際大会に参戦し始めて2季目だった昨年のアジア大会で2位に入ると、世界選手権で早々と五輪切符をゲット。カヌー界の新星として躍り出た。「兄貴」に導かれ、つかんだ初の夢舞台。「狙うはメダル獲得。もちろん一番上を」。しっかりと目標を見据えて、こぎ出す決意だ。