20年服役した“元ワル社長” が元受刑者の社会復帰支援 「人として接してあげて」出所後の実情語る 熊本

AI要約

福岡市の男性が刑務所での経験を踏まえて立ち直り支援に取り組む姿を熊本県庁で披露

出所直後の受刑者が直面する孤独や孤立感の現実を語る

再犯を防止するためにも社会全体で出所後の支援が必要であることを訴える

20年服役した“元ワル社長” が元受刑者の社会復帰支援 「人として接してあげて」出所後の実情語る 熊本

刑務所にいた経験を踏まえて立ち直り支援に取り組む福岡市の男性が、犯罪歴のある人たちへの支援の重要性を熊本県庁で訴えました。

自身も経験した、出所直後の受刑者が直面する厳しい現実とは。

■25歳で暴力団に 8回の実刑判決

カオサポート博多 中溝茂寿 代表「受刑者は社会に見えない壁を必ず作っている。逆に社会も受刑者に対して見えない壁を作っている」

再犯防止に向けた熊本県の講演会で講師を務めたのは、福岡市で罪を犯した人たちの立ち直り支援に取り組む中溝茂寿(なかみぞ もとひさ)さん(58)です。

中溝さんは25歳で暴力団に入り、2017年までに覚せい剤の使用や傷害などで8回の実刑判決を受け、あわせて20年以上服役しました。

しかし最後にいた高知刑務所で、別の受刑者から「一生刑務所生活で良いのか」といさめられ、周囲にいる高齢受刑者の実情を目にして更生の道へ進みました。

■受刑者の苦難は出所直後から

法務省によりますと、過去に検挙歴のある人のおよそ2人に1人が再び罪を犯しています。

その要因の一つが出所後の孤立感でした。

講演会では、中溝さん自身も出所した後に行くあてがなく、地域をさまよった体験を語りました。

中溝さん「刑務所の門をポンっと出た時に、どっち側に駅やバス停があるのかもわからない」

■会社を継ぎ、元受刑者の支援活動へ

中溝さんは出所後、不動産管理会社を営む母親に頼み込み、会社を継ぐことで刑務所に戻ることはなくなりました。しかし、誰も頼れない元受刑者も多いことから、支援する会社「カオサポート博多」を設立。企業と協力し、従業員を希望する事業所と元受刑者をマッチングする活動などに取り組んでいます。

この日の講演で中溝さんは、集まった保護司や支援団体の関係者に対してこのように呼びかけました。

中溝さん「皆さんの力が絶対に必要なんです。元受刑者と人として接してあげてください。そうすれば、必ずその思いは元受刑者に届きます」

■再犯を防ぐためには

元受刑者に対する社会の目が厳しい中、社会全体で出所した後の住まいや就労の機会を支援することで元受刑者の孤立を防ぎ、犯罪被害も減らすことができると中溝さんは訴えています。

中溝さんが代表を務める「カオサポート博多」では、支援を求めたい元受刑者の人やそうした人を支援したい個人や企業に参加を呼び掛けています。

【「カオサポート博多」の連絡先】092-409-9990