有明海の伝統行事「沖の島まいり」 船上で浮立、きらびやかに

AI要約

有明海の伝統行事「沖の島まいり」が行われ、漁船が五穀豊穣を願いながら笛や太鼓の音色を響かせた。

江戸時代の伝説を基にした沖の島まいりの由来や、30年以上途絶えた浮立が復活したエピソードなどを紹介。

地区の伝統を守りながら未来に継承していく意識が強い若者たちの姿や、地域交流が大切であることが伝わる。

有明海の伝統行事「沖の島まいり」 船上で浮立、きらびやかに

 旧暦の6月19日夜から翌朝にかけて行われる有明海の伝統行事「沖の島まいり(おしまさんまいり)」が24日にあった。のぼりやちょうちんで彩られた漁船が小城市芦刈町の住ノ江港に集まり、五穀豊穣(ほうじょう)を願って笛や太鼓の音色を響かせた。

 沖の島は鹿島市沖で干潮時に姿を現す。江戸時代、雨ごいの願かけで身を投げた村の娘「おしま」が流れ着き、村人が島を「おしまさん」と呼ぶようになって沖の島まいりが始まったと伝わる。

 佐賀市久保田町下新ケ江地区では、30年以上途絶えていた浮立を有志の手によって2009年に復活させた。この日はそろいの法被に身を包んだ若者6人が夕方、「ヤッサー、ヤッサー」のかけ声に合わせて笛や太鼓、鼓の浮立を地区内で奉納した。船で港へ向かって船団に合流し、船上で威勢よく浮立を行った。

 下新ケ江地区沖の島太鼓保存会の福田マイケル代表(47)は「他の地区と交流できる貴重な機会。来年もぜひ参加したい。地域の先輩から継承した伝統を絶やすことなく後世へ届けていけたら」と話した。(写真と文・山田宏一郎)