胃がんが見つかったら 自分に合った治療選んで

AI要約

胃がんの罹患率や死亡率、診断数、死亡数の現状と胃がんの治療法について述べられている。

胃がんの発生要因や日本での特徴、治療方法の選択基準、薬物療法について説明されている。

胃がんの予防法、重要性、治療選択時の注意点、セカンドオピニオンの重要性について記載されている。

胃がんが見つかったら 自分に合った治療選んで

[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1339)

 胃がんの罹患(りかん)率は人口10万人当たりで98・5例、死亡率は34・3人となります。2019年の診断数は約12万4千例で、大腸がん、肺がんに次いで3位。20年の死亡数は4万2千人を超え、肺がん、大腸がんに次いで3位でした。罹患数、死亡数共に減少傾向となっていますが、依然として多くの方が胃がんにかかり、亡くなられています。

 胃がんの発生要因には、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染や喫煙などが挙げられます。日本では、検診での胃部X線検査や人間ドックでの上部消化管内視鏡検査の普及により、欧米と比較して症状がない状態で発見されることが多いのが特徴です。

 治療は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や手術、薬物療法があり、胃がんの進み具合(進行度)で治療が選択されます。早期がんでリンパ節に転移がない進行度であれば、ESDが選択され、胃を全て残すことができます。

 進行がんである場合や早期がんだがリンパ節転移がある、またはリンパ節転移の可能性がある場合は、手術が選択されます。胃の真ん中から出口に近い腫瘍の手術の場合は幽門側胃切除術(出口側を切除する)、口側に近い場合は胃全摘術、もしくは噴門側胃切除術(入口側を切除する)が行われます。アプローチとしては、従来の開腹手術と、カメラと鉗子(かんし)で行う内視鏡手術があり、進行度によって選択されます。

 病変の広がりによって全て切除できない場合は、薬物療法が選択されることがあります。従来の抗がん剤に加え、最近では免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬など多岐にわたる治療薬が適応となり、切除ができない胃がんの余命も延びています。

 胃がんの予防にはピロリ菌除菌や禁煙が有効で、検診や人間ドックで早期発見に努めることも大切です。胃がんが見つかったら担当医とよく話し合い、ご自身に合った治療を選択してください。治療に迷う場合は、セカンドオピニオンもありますので利用してください。

(知念順樹・那覇市立病院外科=那覇市)=第1、2、4水曜日掲載