〈全国高校野球選手権富山大会・第3日〉高岡商また初戦敗退 雪辱ならず短い夏

AI要約

高岡商と石動の試合で、石動が5-2で勝利し、高岡商は初戦敗退。高岡商は11安打を放つもつながりを欠いた。石動のナインは活躍し、涙ながらの退場となった。

石動は高岡商を破り、校歌を高らかに歌った。エース舘が5回を無失点に抑え、チーム一丸となって勝利を収めた。監督は生徒たちを褒め称え、涙を流した。

石動は投手力、打撃力が向上しない苦しい期間を経て、3年生と2年生がしぶとく戦った。延長十回、春の代打起用だった野村が勝利の決勝打を放ち、石動は一歩前進した。

〈全国高校野球選手権富山大会・第3日〉高岡商また初戦敗退 雪辱ならず短い夏

  ●石動、延長制し5―2 高岡商3年生、涙

 甲子園常連校がまたしても初戦で姿を消した。強豪・高岡商は昨夏と同一カードの2回戦で雪辱に燃えたが、競り負けた。短すぎる夏にナインはベンチに戻る前から涙をこらえきれなかった。

 緊迫の投手戦となった。チームは石動より6本多い11安打を放つも、つながりを欠いた。六回までに2点をリードされ、反転攻勢のチャンスをうかがった。七、八回にようやく相手のエースに代わって登板した2番手をつかまえた。

 活躍したのは2年生で、七回は1死一塁で岡田一桜が右中間を破る適時二塁打。八回は2死一、二塁で朴木慧司が中前に運んだ。鞍本琥珀主将(3年)は「チャンスはつくっていた。もっと低い打球を意識していればよかった」と唇をかんだ。

 エース三上亮汰(3年)は10回を投げ抜き、被安打5、奪三振9。7四死球と制球に課題を残すも、要所での強気のピッチングが光った。終盤に仲間の援護に助けられ、延長に臨んだが、1死満塁のピンチを切り抜けられなかった。ベンチ入りした昨年は登板機会がなく、リベンジを誓ったこの夏。勝利に導けず、「悔しい」と声を絞り出した。

 吉田真監督は「生徒はよくやった。初戦の硬さをとってあげられなかった監督の責任」と厳しい表情。鞍本主将は「代わりに甲子園で勝ってほしい」と思いを後輩に託した。

  ●チーム一丸 石動、攻守しぶとく

 持てる全てを出し切り、石動ナインは高らかに校歌を響かせた。夏の甲子園に県内最多22度の出場を誇る常勝校を2年連続で撃破。チーム一丸となって粘り勝った。

 元高岡商主将の中野祐輔監督は母校を再び破ったナインをたたえ「120%の力が出た。本当によくやってくれた」とうれし涙を拭った。

 想定通りのロースコアゲーム。試合をつくったのは、エース舘大翔(3年)だ。120キロ前半の速球に80キロ台のチェンジアップなどを織り交ぜ「バックを信じて打ち取れた」と緩急巧みに5回を無失点に抑えた。

 石動は秋、春とも成績が振るわず、投手力、打撃力もなかなか向上しない苦しい期間を過ごした。それでも「真面目な3年生が死に物狂いで野球に向き合ってきた」と中野監督。3年生は少ない好機をものにし、しぶとさも見せると、足をつって降板した舘の後を任された前田陽飛、遠藤瑠生の2年生が好投で応えた。

 延長十回、1死満塁の絶好機をつくると、今度は春は代打起用だった野村侑生(3年)が奮起した。「俺ならできる、とずっと信じてきた。絶対勝つ」。強い思いを込めた打球は決勝打となり、藤田尚幹(3年)も2点適時打の活躍を見せた。

 昨年の先輩のおかげで、後輩たちは高岡商に勝つ良いイメージが持てており、主将の宮田幸和(同)は「ビジョン通りにできた」と胸を張った。かつて甲子園を経験した指揮官に鍛えられた石動ナインは見据える聖地に向け、一歩前進した。