消防機器の開発で入賞 ホースの落下防ぐ、和歌山県田辺市消防本部

AI要約

和歌山県田辺市消防本部田辺消防署の署員が、ホースストッパーを開発し全国5位入賞。ホースの落下を防ぎ、作成プロセスや機能について解説。

ホースストッパーは廃棄されるホースを再利用し、安価で簡単に作成可能。重さに耐え、設置時間も短縮する効果を持つ。

田辺消防署の作品が全国入賞したのは6年ぶり。田辺消防の努力と創意工夫による成果が表彰された。

消防機器の開発で入賞 ホースの落下防ぐ、和歌山県田辺市消防本部

 和歌山県田辺市消防本部田辺消防署の署員が、2階建ての窓などにホースを伸ばした際、水勢や重さによるホースの落下などを防ぐための器具「ホースストッパー」を開発した。全国消防協会による2023年度の消防機器の改良・開発に関する表彰(機械改良の部)で全国5位に入賞し、このほど、堺市であった第76回全国消防長会総会で表彰を受けた。

 開発したのは、田辺消防署特別救助隊の田中利樹さん(35)、森悠太朗さん(29)、竹中隆也さん(24)。ホースは現場ではロープなどでくくりつけて固定するが、手すりのない階段やベランダなど固定するのが難しい場所もあり、その際に活用できる物を作ろうと発案した。ほかにも「はしごから落ちないようにするロープ」や「ロープの自動巻き取り機」などの案があったが、実用的でどの現場でも活用できるこの案を選んだという。

 ホースストッパーは廃棄されるホースを再利用している。ホースの内側を覆っているゴム素材の部分を切り取って作った。表面に細かな凹凸があり、摩擦抵抗によって位置が固定される仕組み。市消防本部で扱うホースの太さは直径が40ミリ、50ミリ、65ミリと3種類あるが、表面の厚さを変えて繰り返し実験し、どの太さにも対応できるように調整した。

 重さ約100キロまで耐えることができ、設置時間もロープの場合は15秒ほどかかるが、この器具では約5秒と大幅に短縮できるという。

 今回リーダーを務めた田中さんは「廃材を使って安く簡単に作れるものを考えた。各消防本部や全国の消防職員の、安全で迅速な現場活動につながるようぜひ広まってほしい」と話した。

 23年度の消防機器の改良・開発に関する表彰には、全国の消防本部や消防局から94作品の応募があった。田辺消防の作品が全国入賞したのは17年度の10位以来、6年ぶり。