【若松の空き店舗増】にぎわいの創出が急務(6月25日)

AI要約

会津若松市の中心商店街での空き店舗増加に対応するため、通りのにぎわい創出が求められている。

空き店舗が増加しており、商店街が抱える課題は高齢化の影響や店舗の老朽化など様々な要因がある。

神明通りではイベント広場の構想や歩行者利便増進道路の活用など、通りの活性化に向けた取り組みが進められている。

 会津若松市の中心商店街の空き店舗が、この10年間で増加の一途をたどっていることが会津若松商工会議所の調査で分かった。閑散とした「シャッター通り」になるのを防ぐには、これまで以上に、通りのにぎわい創出が求められる。官民連携による街なか再生の取り組みを期待したい。

 調査では、神明通りをはじめ、大町通り、本町通りなど市内14の商店街と、その他の商業集積地の計15カ所を対象に集計した。2023(令和5)年度の空き店舗は計129件で、前年度から5件増えた。10年前の2014(平成26)年度の62件と比べると約2倍に増えた計算になる。前年度より空き店舗が減少した商店街もあるが、建物が解体されて空き地や駐車場になるなど、新規出店といった商店街の活性化に結び付くような前向きな動きは見られなかったという。

 県商店街実態調査では、商店街が抱える課題として(1)経営者の高齢化による後継者問題(2)商圏人口の減少(3)店舗の老朽化―が大きな割合を占めている。会議所は「市も例外ではない」として、引き続き創業・出店希望者を支援していく考えだが、持続可能な経営に結び付けるには通り自体に人を呼び込むための環境整備も欠かせない。

 神明通りでは、市中心市街地活性化協議会などが中心となってリオン・ドール本店跡地周辺の約2500平方メートルの土地をイベント広場として活用する構想が浮上している。若い世代から高齢者まで幅広い年代層に人気があるマルシェや朝市、フリーマーケット、ミニコンサートなどを週末ごとに催せば、多くの人出が期待される。実現すれば、おのずと通りの人通りも増していくだろう。

 加えて活用したいのが、国が推進する「歩行者利便増進道路(通称・ほこみち)」の取り組みだ。道路管理者の指定を受ければ、歩道にオープンカフェやキッチンカー、ベンチなどを設置でき、占用料が減免される利点がある。市は2022年度から2年間、大町通りでほこみちの社会実験を行った。今年3月には制度導入に向けて市条例の一部を改正し、実装段階に入った。県と歩調を合わせ、神明通り周辺で成功事例を積み上げ、他の商店街にも波及させてほしい。(紺野正人)