大半は空き店舗で老朽化した商店街、倒壊も起きたのに…連絡つかない所有者多数で解体進まず

AI要約

宮崎市中心部にある青空ショッピングセンターは、終戦直後に形成された商店街であり、現在は大半の店が閉店し空き店舗となっている状況だ。

建物の老朽化が進み、所有者の多くと連絡が取れないため、解体や新たな活用の見通しが立っていない。

市は所有者に適正な管理を呼びかけており、老朽化が進む中で撤去や建て替えを促しているが、権利関係の複雑さが進展を難しくしている。

 宮崎市中心部の橘通り近くに戦後形成され、いまは大半の店が営業をやめて空き店舗となっている商店街がある。「青空ショッピングセンター」。歓楽街の一等地にある一方、建物の老朽化は著しく、昨年は倒壊も起きた。所有者が多数に上って連絡がつかない人がおり、大規模な解体や土地の新たな活用の見通しは立っていない。(浜崎大弥)

 6月中旬、宮崎市役所から北約500メートルの宮崎市橘通西2にある青空ショッピングセンターを訪れた。比較的新しい建物がある一角で営業している店があるものの、その他の区画では空き店舗が並んでいた。柱が傾いたり、天井が崩れ落ちたりしている建物や、大きな木が屋根を突き破っている建物もある。

 「放置され続けると防災面や衛生面で心配。撤去を進めてほしい」。センター近くにある居酒屋の男性(41)はそう話した。

 市や商店街関係者らによると、センターは終戦直後、引き揚げ者らによるバラック建ての小店舗が集まったマーケット街として誕生したとされる。1600平方メートルほどの広さがあり、「青空市場」「中央市場」「市民市場」で構成され、50年ほど前の最盛期には鮮魚店や青果店など約50店が軒を連ねて「市民の台所」として親しまれた。

 同じ時期に商店街全体での建て替えの話が持ち上がり、県外視察も行われたが、賛否があり実現しなかったという。周辺にスーパーが進出したことなどに伴い徐々に店は減り、現在は数店が営業するのみとなっている。

 昨夏には、センター南側の市道に面した区画の建物が延長約10メートルにわたって倒壊し、空き店舗のシャッターや柱などが市道にせり出した。市は通行人の安全に影響するおそれがあるとして、所有者が不明な部分を撤去した。本来、撤去は所有者が行うのが原則だが、連絡が取れず、やむなく道路法に基づく略式代執行として行った。

 老朽化は今後さらに進むことから、市は所有者に解体を含めた適正な管理を呼びかけている。ただ、把握できた所有者約80人のうち20人ほどとは連絡が取れないという。亡くなった人もおり、県外の相続人に連絡するとセンターのことをよく知らないケースもあった。建物は長屋づくりが多く、複数人が名義の共有部分もあり、複雑な権利関係が解体や建て替えへの合意形成の難しさにつながっているという。