中小食品事業者、歴史的円安に悲鳴 不作で相場上昇のコーヒー豆はダブルパンチ
円安の影響で食品関連の中小事業者がコスト増に悲鳴を上げている。コーヒー豆や水産物の輸入原料価格が上昇し、値上げを余儀なくされている。
コーヒー豆専門店や飲料社などでは仕入れ価格の上昇により商品価格を引き上げる動きが見られる。円安による影響が深刻化している。
食品メーカーを含めた値上げの動きが活発化しており、円安が主要な要因として挙げられている。
歴史的な円安水準が続き、食品関連の中小事業者が悲鳴を上げている。コーヒー豆や水産物など輸入原料の価格が上昇してコストが膨らみ、商品の値上げを余儀なくされている。家計の負担も増している。
コーヒー豆専門店の大和（広島市安佐南区）は今年に入り、高価格帯のスペシャルティコーヒーの豆の仕入れ値が1、2割上がった。鳩健洋店長は「高価格帯の豆はあまり相場の影響を受けないのに、急激な円安が押し上げている」とため息をつく。
2月にストレートコーヒー豆（100グラム）の販売価格を100円上げて650円にした。鳩店長は「値上げしたばかりだから今は据え置くしかない」と話す。
コーヒー豆は、高級なアラビカ種の国際相場で2020年、21年のブラジルでの不作を引き金に高止まりが続く。比較的安いロブスタ種も、産地のベトナムの干ばつや転作が重なり、相場が上昇している。
寿屋珈琲（コーヒー）飲料社（中区）は6月、主力商品を除く一部の豆の価格を15～30%上げる。割方光也社長は「ものによっては仕入れ値が5年前の2、3倍になった。相場と円安のダブルパンチだ」と嘆く。包材費や配送費、光熱費もかさみ、値上げしても吸収しきれないという。
円相場は4月末に一時1ドル=160円台と34年ぶりの円安水準になった。帝国データバンクは5月末、主要な食品メーカー195社による6月の値上げが614品目になるとの調査結果を発表した。今年に入って値上げしたか、年内に値上げを予定しているのは8269品目。値上げの要因（複数回答）は円安が29・2%と昨年の11・4%より大幅に増えた。
