「公費解体早く進めて」 損傷家屋崩れ住民恐怖 輪島、珠洲で震度5強

AI要約

輪島と珠洲で震度5強を記録した地震で多くの住民が恐怖を感じ、倒壊した家屋からは早急な公費解体の要望が出された。

輪島市では倒壊した家屋が次々と発生し、住民は危険を感じていた。中には家族で2階建て住宅に暮らしていた者もおり、幸い巻き込まれることはなく一安心した。

能登町や穴水町でも被害が出ており、避難所や町道での落石などが確認された。地域全体が地震被害による危険にさらされている。

「公費解体早く進めて」 損傷家屋崩れ住民恐怖 輪島、珠洲で震度5強

 月曜日の早朝、輪島と珠洲で震度5強を記録した3日の地震では、1月以来となる強い揺れに多くの人が恐怖を口にした。元日の能登半島地震で損傷していた住宅が次々と倒壊し、住民からは「危ない家屋を早く公費解体してほしい」との声が上がった。

 輪島市河井町の重蔵神社近くでは、蔵の屋根や土壁が隣接する空き地や道路に崩れた。近くに住む林和子さん(68)は「以前から傾いていたので、崩れるのは時間の問題だと思っていた。人がいなくて良かった」と語った。別の倒壊現場近くに暮らす上畠忠雄さん(76)も「通学路沿いに危険な倒壊家屋がたくさんある。一刻も早く解体を進めてほしい」と切望した。

 同市二ツ屋町の会社員中谷博之さん(54)方は、木造2階建て住宅の1階部分が押しつぶされる形で壊れた。元日の地震で柱が斜めに傾き、基礎から建物が浮いて全壊判定を受け、公費解体を待っている状態だった。

 中谷さんは母親と2人暮らしで、元日の地震後は敷地内の離れ兼納屋で生活していた。4月下旬に公費解体を市に申請した際には窓口で「公費解体の実施には半年くらいかかる見込み」と伝えられていた中谷さんは「危ないと思っていた。倒れた自宅で通行している人や車を巻き込まなくてよかった」と安堵した。

 輪島市小伊勢町の国道249号沿いの住宅では、木造2階建て住宅の1階部分が押しつぶされる形で崩れ、破損した一部が国道にはみ出した。このため、現場付近は片側1車線のうち一部規制された。

 輪島市の坂口茂市長は午前7時過ぎに登庁して防災対策会議に出席、倒壊家屋の迅速な対策を指示した。坂口市長は「大きな余震がいつ起こるか分からない。公費解体を早く進めたい」と強調した。

 約60人が身を寄せている珠洲市宝立小中の避難所では慌てて外に飛び出す人も。運営に携わる宮口智美さん(38)は「みんな口々に『久しぶりの大きな揺れで怖かった』『元日を思い出すわ』と言い合っていた」と話した。穴水町川島の仮設住宅で暮らす米里有希さん(48)も「緊急地震速報は何度聞いても怖い」と青ざめた。

 能登町役場内浦総合支所では天井のパネルの一部や照明が落下して散乱した。けが人はいなかった。町は撤去するとともに、正面玄関を閉鎖し、別の出入り口を利用するよう呼び掛けた。

 同町真脇の町道では落石の被害が確認された。元日の揺れで岩肌が崩れ落ちていた。近隣住民が町役場に連絡し、業者が石を撤去した。

  ●穴水に自主避難所

 穴水町は町さわやか交流館プルート、住吉公民館、兜公民館、諸橋公民館の4カ所に自主避難所を開設した。