能登半島地震から5か月、公費解体完了は0・6%どまり…自己負担での解体含めても383棟のみ

AI要約

 能登半島地震から5か月が経過し、石川県では2万4000棟以上の住宅が全半壊したが、撤去が進んでいない状況が続いている。

 解体申請は全体の0・6%にとどまり、遅れが復旧を妨げている。緊急解体や自主解体も含めると県内での解体はわずか383棟に過ぎない。

 申請件数は多いが、倒壊家屋の同意が必要であったため解体が進まなかった。自治体判断で公費解体を行える新たな方針が出されたが、解体差が生じる懸念もある。

 能登半島地震は1日で発生から5か月になる。住宅2万4000棟以上が全半壊した石川県では、今も多くの倒壊家屋が撤去されずにいる。所有者の申請に基づいて自治体が行う「公費解体」が進んでいないためだ。公費による解体完了は5月29日現在で申請全体の0・6%にとどまり、撤去の遅れが復旧の足かせとなっている。

 環境省や公費解体を行う県内16市町によると、29日までに1万6240棟の解体申請があり、解体を終えたのはわずか95棟。申請を待たず、行政の判断で安全確保のために行う「緊急解体」や、住民が費用を立て替えて行う「自主解体」を含めても解体完了は県内で383棟しかない。

 申請件数は輪島市で4610棟、珠洲市で3359棟、志賀町で2057棟など。県は約2万2500棟の解体を見込み、地震発生から1年10か月後の2025年10月末をめどに完了するとしている。

 公費解体は、所有者全員から解体の同意を得ることが申請の障壁となっていた。そのため、環境省と法務省は5月28日、倒壊や焼失などで建物としての機能が失われている場合には全員の同意がなくても自治体判断で公費解体を行えると通知した。

 しかし、「申請件数と解体数にさらに大きな差が生まれる可能性がある」(珠洲市環境建設課)との懸念もある。

 16年4月に発生した熊本地震では、約3万5000棟の公費解体が実施され、地震発生から半年となる同年9月時点での達成率は12%。全ての解体が終わるまでに約2年かかった。