ベッド編(2)接地面積を小さくすればわずかな力で起こせる【誰でもできる力いらずの介助術】

AI要約

介助術の重要性と具体的な方法について解説。

胴体をコンパクトな状態にすることで効果的な介助が可能。

根津式介護技術を活用して無理な介助を避けることが重要。

ベッド編(2)接地面積を小さくすればわずかな力で起こせる【誰でもできる力いらずの介助術】

【誰でもできる力いらずの介助術】#6

「人間の胴体は平べったい形をしているので、あおむけに寝ているとベッドに接地する面積が広く摩擦が生じて身体介助をしづらくなります。スムーズに起き上がらせるためには、体をコンパクトな状態にして摩擦を減らす必要があるのです」

 そう話すのは、力がいらない根津式介護技術を開発した根津良幸氏だ。

 相手の両腕を胸の前で交差させ、膝を曲げてベッドとの接地面積を小さくすると、介護度が高くてもわずかな力で起き上がらせられるという。

 介護度が高い相手を、背上げができる介護用ベッドから起こして座らせる介助法を紹介する。

①枕を取り除き、ベッドの背をできるだけ高く上げる。

②介助者は、相手の頭側から遠い方の膝をベッドにつき、親指、中指、薬指の3本で相手の両手首を取って体の前で交差させる。

③相手の膝の位置に移動し、先ほどと同側の膝を相手の膝の横でつき直し、ついた膝と同側の腕を手のひらを下に向けた状態で相手の膝下に深く差し込む(写真1)。

④親指が上になるよう手首を回転させ五指をピンと張ったら、腕を斜め45度上に引き上げ、相手の膝を曲げる。

⑤そのまま中指と薬指で相手の膝に軽く触れ、もう一方の空いている腕を相手の首の後ろに回して中指と薬指で肩に触れ、相手の体を手前に軽く傾けてベッドの端まで引き寄せる。(写真2)

「その際、手前側にある座骨だけに相手の体重がかかる状態にするのがポイントです。奥側のお尻を浮かすつもりで体を傾けたら、コマを回すイメージで⑥相手の両足を手前に一気に引いて体をクルッと90度回転させ、ベッド下に足を下ろしてください。相手がベッドの上に起き上がったら⑦介助者は相手の正面に立った状態で両肩の上に腕を乗せ、肩甲骨の内側に中指と薬指で軽く触れ、体を軽く手前に引き寄せ体勢を安定させましょう」 脳卒中の後遺症など、どんなに介護度が高くても、食事、口腔ケア、リハビリなど、一日の中でベッド上に座ってもらう場面は少なくない。無理な介助を繰り返して腰を痛めないためにも、根津式介護技術を試すといい。 (つづく)

(根津良幸/埼玉医科大学客員教授)