慶大の「女子AI勉強会」に在学生から疑問の声 大学側は「性別を問わずご参加いただける」と釈明

AI要約

慶応義塾大主催の「女子AI勉強会」が男性排除の疑問を受けて問題視される。

学生からの指摘に対し、慶応AICは性別を問わず参加可能と訂正した。

慶大学生の國武さんは、建学の精神に照らして性差別に違和感を表明し、大学側の訂正に安堵する。

慶大の「女子AI勉強会」に在学生から疑問の声 大学側は「性別を問わずご参加いただける」と釈明

 慶応義塾大が主催する「女子AI勉強会」を巡り、慶大の学生から「男性排除ではないか」との疑問の声が上がっている。女性限定のサービスを巡っては、今月上旬、焼き肉チェーン大手「牛角」が企画した女性半額キャンペーンが物議を呼んだばかり。問題点はどんなところにあるのか。今回問題提起を行った慶大の現役学生で、学生による自治会「全塾協議会」で塾生議員を務める國武悠人さんに話を聞いた。

「【AIに興味のある女子必見!】9/25-26に『女子AI勉強会』の開講が決定! こちらは、女子限定でAIについて基礎から学ぶ講習会です!『AIに興味はあるけど、どこから勉強していいかわからない』『AIを学ぶ女子との繋がりを持ちたい』という方にオススメです!」

 今月10日、慶大が主催するAIやプログラミングについての研究セミナー「慶應AI・高度プログラミングコンソーシアム(AIC)」が、公式SNS上で「女子AI勉強会」の開催をリリースした。

 國武さんはこのリリースに対し、SNS上で「なぜ男性排除? 慶應AICは説明を」「同じ学費を払っているのにも関わらず性別で学べる内容に違いがあるとすれば大問題です」と問題提起。「『女子AI勉強会』に対して、塾生の代表たる塾生議員として強烈な違和感を表明いたします。男女関係なく学ぶ権利は、福澤諭吉先生が最も大事にされた概念です」「次回の全塾協議会塾生議会で追求します」と、議員として次の議会の議題にあげることを明言している。

 今回の問題について、國武さんは「AIという最先端の技術を学ぶイベントにおいて、性別を限定する合理的な説明が行われていません。いわゆるアファーマティブ・アクション(差別解消のための積極的な改善措置)も、先進国では相当な説明が求められるのが共通認識です。今回の慶応AICの施策は、理工系に女性が少ないことを理由とした可能性がありますが、それならば看護医療分野における男性向けワークショップの開催も行うべきではないでしょうか」と指摘。

「福澤諭吉先生は『学問のすすめ』において『「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」というが実際に人には差がある。それはなぜか? 学問を修めたかどうかの違いだ』と学問の重要性を述べられました。また、『中津留別の書』においては『男といい女といい、ひとしく天地間の一人にて軽重の別あるべき理なし』とも述べられています。建学者の精神を蔑ろにする『女子限定』の勉強会には違和感があります」と建学の精神をひも解いた上で、「大学の評判は就活にも影響します。慶應義塾が性差別を行っていたとなれば、塾生にとっても大損失です」と訴える。

 慶応AICは19日、ENCOUNTの取材に「『女子AI勉強会』についてのご指摘、誠にありがとうございます。実は、『女子限定』という表記が誤りであり、正しくは性別を問わずご参加いただける勉強会となっております。現在、誤った表記の箇所の訂正を行い、正しい情報を発信しております」と文書で回答。「混乱を招いてしまい、大変申し訳ございませんでした。今後このような誤りがないよう、注意してまいります」としている。公式サイトの受講条件には「特にありません。どなたでも大歓迎です」と記載されている。

 大学側の発表を受け、國武さんは「そもそもの企画名に違和感は残りますが、ひとまず塾生が性別関係なく学ぶ権利が保たれたことについては安堵(あんど)しております」と話している。