女子学生の半数以上に就職面接で「家庭を持つ計画」を聞く、中国の深い性差別

AI要約

中国において女性求職者が結婚や出産関連で不利な待遇を受けている問題が浮き彫りになっている。

女性の就職活動において差別が存在し、男性を優先して雇用する企業も多い。

大学進学率は女性が男性を上回っているが、就職においては逆に女性が不利な状況にある。

女子学生の半数以上に就職面接で「家庭を持つ計画」を聞く、中国の深い性差別

中国では、企業が求職者を性別によって差別することは禁じられている。しかし、現実には、女性が不利に扱われていると、英紙「フィナンシャル・タイムズ」は報じている。マッキンゼーの調査によると、中国の女性求職者の61%が、採用プロセスにおいて結婚・出産予定について質問されたと回答した。同様のことを聞かれた男性はわずか3分の1だった。

2023年に大学を卒業して就職したヤンという女性は同紙にこう語っている。

「私の現在の上司は、女性は結婚して子供を産むかもしれないので、男性を優先的に雇うことにそれほど問題はないと言っています」

企業は、出産による女性従業員のキャリアの中断や福利厚生費の高騰を懸念し、男性や出産を考えていない女性を選り好みする傾向がある。中国では手頃な保育施設も不足していることから、育児にあたっての女性の負担が大きく、仕事と両立するハードルが高い。

出生率上昇を目指す中国当局は、長年続いたことで少子高齢化を招いた一人っ子政策を2016年に廃止し、現在は3人まで子供を持てるようになっている。しかし、そのために女性への風当たりがさらに強くなっているようだ。

英科学誌「ネイチャー」に掲載された論文では、政府がより多くの子供持つことを奨励するようになったため、出産適齢期の女性が雇用差別に直面しやすくなったと分析している。特に男性優位の企業、あるいは低技能職の女性ほど差別に遭いやすい。

前出のヤンは四川大学で会計学について学んだが、仕事を見つけるのに4ヵ月かかった。彼女の同級生だった女子100人のほとんどは、就職までに半年以上かかったという。それとは対照的に、彼女の男子クラスメイト20人のほとんどは簡単に仕事を見つけられた。たとえ成績が悪くてもだ。

「一般的に女子学生のほうが勉強熱心で成績も良いのですが、就職活動では不利です」と彼女は言う。

中国の大学では2008年以降、女子学生のほうが男子より多い。その差は拡大し、2022年には学部課程に入学した学生の63%が女性だった。

国営メディアは、女性の大学進学率が高いことを、中国で男女平等が進んでいる証拠として称賛している。しかし、就職にあたっては、女性たちは不利な立場に立たされており、実際には男女は平等ではない。中国の大卒者の就職が難しくなるなかで、女子学生はより不利な立場に置かれているというのが現状だ。

英誌「エコノミスト」によると、都市部の16~24歳の失業率は、2023年6月に過去最高の21.3%となった。同誌の計算によると、同世代の大学卒業者の失業率はさらに高く、2020年では同世代全体の1.8倍だったという。

深センで教員として働く26歳の女性は、学校は男性求職者を好むと話す。「平均的なスキルの男性は、より優れた経歴の女性と選考で比べられ、面接で先に進みます。応募者が多いので、男性を選べるのです」とフィナンシャル・タイムズに答えている。